本文の前にご案内です。

 

ISO審査員としての活躍を考える方向けの講座を作りました。

状況によってどの講座がよいか迷われるようであればお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

 

 

前回は、ISO審査員として活動していく魅力についてお話をさせていただきましたが、きれいごとだけでは世の中の荒波を乗り切っていくことはできません。

労働の対価を得ることは資本主義経済の中で当然の権利でもあり、ある意味、魅力の一つでもあります。

 

今回は、ISO審査員の報酬についてのご説明をしていきましょう。

 

いつも同様、AI先生にまずは投げかけてみました。

 

 

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Q:ISO審査員として活動することによって、どれくらいの報酬が得られるのでしょうか。

 

A:ISO審査員の報酬は、国や地域、審査機関などによって異なります。また、審査員の経験やスキル、審査業務の難易度、審査する規格や業界などによっても異なります。

 

一般的に、初心者のISO審査員の場合、1日あたり数万円から数十万円程度の報酬が支払われることがあります。経験豊富で高度なスキルを持つISO審査員は、1日あたり数十万円以上の報酬を得ることもあります。

 

ただし、ISO審査員としての報酬は、審査業務が発生した場合にのみ支払われることが一般的であり、審査業務が発生しない場合には報酬を得ることができません。また、ISO審査員は、継続的な教育や訓練を受ける必要があり、その費用は自己負担となることが多いです。

 

ISO審査員として働く場合は、報酬のみに注目するのではなく、自分のスキルや経験を高めるために、継続的な学習や訓練に取り組むことが重要です。

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数十万円の支払い???

 

あり得ない答えが返ってきました。

認証を取得する組織が審査機関に支払う金額総額であれば、数十万にはなります。ですがあくまで会社同士のお金のやり取りですから、審査員一人にはその金額が行くわけではありません。

 

とは言え、海外各国では物価の違いもあり、そのようなケースももしやあるのか、と思って追加の質問を入れてみました。

 

 

 

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Q:日本国内でのISO審査員の報酬についてはどうでしょうか。

 

A:日本国内でのISO審査員の報酬は、国や地域、審査機関、審査の種類や規模などによって異なります。一般的には、以下のような報酬水準があります。

 

・初級ISO審査員:1日あたり2万円から5万円程度

・中級ISO審査員:1日あたり5万円から10万円程度

・上級ISO審査員:1日あたり10万円以上

 

ただし、これらの報酬はあくまで一般的な目安であり、個人や組織によって異なる場合があります。また、特に大規模な審査や国際審査に参加する場合は、報酬が高くなる場合があります。

 

また、ISO審査員に必要な資格や経験を持つことが前提となりますので、審査員になるためには、長期的に視野を持って準備を行う必要があります。

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なるほど。

今度はかなりまともな答えが返ってきました。

 

ただし、初級、中級、上級審査員というのは何をもって区別をしたのでしょう。

審査員補であれば無給、審査員になればようやく報酬発生。そして主任審査員資格保有者でリーダを務めた場合は加算報酬が出る場合がある、というのが実情です。

 

ですので、2段階での説明であれば納得できるのですが、3段階の区分は実態に即しているとは言えません。

 

ただし、審査機関によって審査員の報酬額は実はまちまちです。

そこを加味したのであればAI先生もすごい、ということになりますが、そうは思えません。

その上で、上級審査員の1日当たり10万円以上、というもの解せませんので、追加の質問をさらに入れてみました。

 

 

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Q:日本国内におけるISOの審査員報酬は、昔は高かったけれど今はずいぶん低い報酬額になってしまったと聞いたことがあります。最新情報を教えてください。

 

A:日本国内におけるISOの審査員報酬は、昔は高かったという認識は一部にありますが、現在でも高い報酬が支払われている場合があります。ただし、報酬は、審査機関や規模、審査の種類やスキル、審査員の経験などによって異なりますので、一概には言えません。

 

一般的には、初級ISO審査員の場合、1日あたり数万円から数十万円程度の報酬が支払われることがあります。中級ISO審査員や上級ISO審査員の場合は、1日あたり数十万円以上の報酬が支払われることがあります。

 

ただし、報酬が高額である反面、ISO審査員は、審査の質や継続的な改善に対して高い責任を負っており、常に高いレベルのスキルと知識を持っている必要があります。また、ISO審査員には、継続的な教育や訓練に取り組むことが求められ、その費用は自己負担となることが多いです。

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この回答、いかがですか。

相変わらず数十万円という法外な、あり得ない金額の回答がある時点で、相当に信頼性が低くなってしまいました。

 

かわいそうなので、下記の問いかけを入れておきました。

その返答はしっかりした日本語で返ってきましたよ。

 

 

 

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Q:失礼ながら、先ほどの回答では、

・初級ISO審査員:1日あたり2万円から5万円程度

・中級ISO審査員:1日あたり5万円から10万円程度

とありましたが、今のご回答はそれと矛盾するのではないでしょうか。どちらが正しい情報か教えてもらえませんか。

 

A:大変失礼いたしました。先に回答した内容と矛盾があったこと、誤解を与えるような回答をしてしまったことをお詫び申し上げます。

 

日本国内におけるISO審査員の報酬については、事業者によって異なる場合があります。また、審査の種類やスキル、審査員の経験、審査の難易度、審査期間、出張費用等によっても異なります。報酬については、具体的にどのような審査に関わるかによっても異なります。

 

しかしながら、今後の参考になるように、一般的な傾向としては、初級ISO審査員の報酬は1日あたり2万円から5万円程度、中級ISO審査員の場合は1日あたり5万円から10万円程度、上級ISO審査員の場合は1日あたり10万円から20万円程度、といったものがあります。ただし、これらの金額はあくまで一般的な傾向であり、実際の報酬は審査機関や事業者によって異なります。

 

再度、先程の回答の不備について、混乱を与えてしまい申し訳ございませんでした。

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とは言え、ISO審査員の報酬で、1日あたり20万円ということはありません。

そうであれば筆者もすぐさま審査員としての活動に全力を注ぎます。

 

さて、遠回りな話は止めて、本来の情報提供に進みたいと思います。

 

ISOバブルと言われた20年前であれば、ISO審査員の報酬は弁護士報酬と変わらないくらいの時間単価か?

と言われたときもありました。

 

出張や仕事が深夜にまで及ぶことをいとわなければ年収2,000万円超の方もいらした、と聞き及んでいます。

しかしはや、それは遠い昔話です。

 

現実は非常に厳しく、

現在の1日当たりの審査員報酬は1万円程度から、高くても10万円未満、というのが実態です。

 

そしていずれにしてもチームリーダーを務めて、リーダー手当が上乗せされなければ、せいぜい1日当たりの審査報酬は5万円が限界、というところです。

 

まあそれでも年間100日審査を行えば年収500万円。

年間200日の審査を行えば、年収1,000万円

 

ということにはなります。

しかし審査の仕事は、ただ単に当日その現場に行って仕事をすればよい、というものではありません。

 

事前にその訪問先組織のことを調べる予習の時間が必要です。

 

そしてリーダーになれば報酬は追加されますが、事前に審査計画についての検討や組織とのやり取り、事後に不適合が発生すればそのやりとり、とやる仕事は審査当日以外の前後でもかなりの時間を必要とします。

 

年間200日の審査をこなすとなると、相当に体力のある方でないと無理、というのが多くの審査員の方からお聞きしている現状です。

 

もちろんリーダーではなく、単なる審査チームのメンバーということであれば、審査前後の業務は大幅に減りますので、200日の審査をこなそうと思えばこなせることでしょう。

 

しかしそうは都合良く事は運びません。

 

それだけの数をこなすイコール、リーダー格に昇格する基準は満たしていますので、多くの日数の審査をこなしたければ、リーダーを務めてください、ということを審査機関から求められます。

一方で、リーダーを務めてください、ということを言われないようでは、審査員としての力量を審査機関側から評価されていない、ということになりますので、そのレベルの方には数多くの審査日程をあてがうことはありません。

 

リーダーが務められるようになってこそ、本当のプロ審査員と言えるレベルですので、そうなると、年間100~150日の審査をこなせば、もう精一杯という状況になると考えてください。

 

 

一方で、昔と比べて大幅に審査員報酬が下がってしまった関係で、安値攻勢を受審側組織にかけている組織であれば、審査員に払えるお手当も相当に低くなってしまいます。

故に1日の審査活動に対する審査報酬が1万円、ということにもなってしまいます。

 

こうなるとめいっぱい審査員としての活動をしても年収200万円がやっと、というようなことも起きてしまう可能性があります。

年金生活に既に入られている方であればこれでもよい、という方もおられるかもしれませんが、現役世代、子育て世代、の方にとっては、この報酬では、ISO審査員になる魅力は全くない、ということになってしまいます。

 

この現実を踏まえて、どのような策を打ち出していくか。

これは我々の業界が直面している大きな問題の一つになります。

 

ISO審査員の報酬について、今回はだいぶ踏み込んで記しました。

ご参考になれば幸いです。

 

(了)