ISO審査員として活動していく魅力についての説明をしてきましたが、魅力は感じたが、果たして自分が向いているのかどうかが心配だ、と思われた方もいらっしゃるでしょう。

 

この疑問について整理していきたいと思います。

 

いつも通りAI先生に聞いてみました。

 

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Q:どのような経験を持つ人がISO審査員を目指すとよいのでしょうか?

A:

ISO審査員になるためには、以下のような経験がある人が適しています。

 

1.関連する業界や分野の経験:

ISO審査員は、審査する業界や分野に関する豊富な経験が必要です。例えば、品質管理、環境管理、情報セキュリティなどの分野での経験がある人は、ISO審査員としてのスキルをより磨きやすいでしょう。

 

2.審査や監査の経験:

ISO審査員は、審査や監査の経験があることが求められます。ISO規格の審査や監査を行った経験がある人は、審査員としてのスキルを高めやすいでしょう。

 

3.資格や認定を持っている人:

ISO審査員になるためには、ISO規格に関する資格や認定を持っていることが望ましいです。例えば、IRCA認定の審査員養成コースを修了している人は、ISO審査員としてのキャリアをスタートさせやすいでしょう。

 

4.コミュニケーションスキルの高い人:

ISO審査員は、企業や組織とコミュニケーションを取りながら、審査を行う必要があります。コミュニケーションスキルが高く、円滑にコミュニケーションをとることができる人が適しています。

 

5.グローバルな視野を持っている人:

ISO審査員は、世界中の企業や組織と関わることがあります。グローバルな視野を持ち、異なる文化や背景を理解し、対応することができる人が適しています。

 

以上のような経験を持っている人が、ISO審査員として活躍することができます。ただし、これらの経験がなくても、ISO審査員を目指すことができます。必要な知識やスキルを習得するために、ISO規格の勉強や専門トレーニングに取り組むことも大切です。

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この回答、一読していただく価値はあるかな、という印象を持ちました。

概要を理解する、という意味では多少役立つ情報が整理された、という感じです。

 

とは言え、まだまだこれでは情報としては不十分かつ不適切と思える部分がありますので補足しておきましょう。

 

 

 

1.関連する業界や分野の経験:

 

ここは実務経験の部分をまずは言っています。

順番としてこれが第一にくるのは極めて妥当かつ適切です。

そして何よりも業界ではなく、関連する分野の経験があることが、ISO審査員になっていく上で必須です。

ISO 9001審査員であれば、品質マネジメント、品質管理、品質保証に関する経験です。ISO 14001審査員であれば、環境マネジメント、環境管理、そして最近の諸情勢であればSDGsに関する部分まで含めた経験です。ISO/IEC 27001審査員であれば、情報セキュリティに関する経験、ということになります。

それぞれの規格では分野が特定されており、その分野での実務経験がないことには、さすがに勉強によって、資格取得だけはできたとしても、実際のISO審査員としての活躍をしていく上では相当に高いハードルをクリアしていく必要があることは理解しておく必要があります。

その上で、業界経験ということになります。

基本は自分が所属していた業界において審査員活動をしていくことから始まります。しかしたとえ未経験の分野であっても、研鑽を積んでいけば審査をする実力は身についてきます。よって、特定の業界での実務経験しかない、ということで審査員は無理、とあきらめるのは早計です。

ただし、ISOの審査は、ISO 9001/14001ではやはり製造業の割合が高いです。製造業の分野での経験がある方の方が若干は有利、という点は

 

 

2.審査や監査の経験:

 

これからISO審査員を目指す人に審査の経験があると良い、というAI先生の回答はやはり不親切です。

日本語訳の問題とも言えますが、AI先生が伝えたい意味合いを解説していきます。

 

審査や監査の経験は、ISO審査員になる上では、必須ではありません。

とは言え、その経験はやはり持っているべきです。

 

特に経験をしっかり持っていることがポイントも言えるのが、内部監査に関する経験です。それもできれば、一内部監査員としての活動ではなく、内部監査を取りまとめていた経験です。

内部監査をある程度の量での経験を保有していれば、ISO規格の要求事項に対する理解度はある程度あると言ってよいでしょう。規格自体には触れている量は多くない方であっても、組織が持つマニュアルは殆どISO規格をベースに作られていますので、損マニュアルに精通している、という経験をお持ちの方であれば、まずは十分です。

 

そしてできれば第二者監査と言われる、取引先監査、供給者監査を実践した経験があればさらに強力な経験となります。

二者監査は会社によってやり方は異なるとはいえ、自社ではなく、他社に出向いて行う監査ですから、第三者審査に近しい緊迫感が現場では生じます。そして仕組みを動かすこと、認証規格・基準に合致しているかどうかを評価する、という実務は第三者審査を基本同じです。基準が2者間で制定されたものか、ISO規格で決められているものか、の違いがあるのみ、と言っても過言ではありません。

 

これらの監査経験を十分持っている、という方であれば、ISOの第三者審査は即戦力と言ってもよいくらい、すぐになじむことができるでしょう。

 

 

3.資格や認定を持っている人:

 

ここは説明がだいぶ不足しています。

まず、ISO審査員の資格は、日本であれば、JRCA登録の審査員と、IRCA登録の審査員と、両者への所属はなく、認証機関(審査機関)独自の評価登録制度に基づき審査員活動をしている人に分かれます。

 

AI先生ではこのうちのIRCA審査員のことしか言及していませんので、注意してください。

 

現状の日本の各企業におられる方々の状況を少しご説明しましょう。

ISO審査員の内、大半の方は、資格は保有しているものの、審査員としての活動は行っておらず、組織内に所属して、ISO事務局の業務等を行っています。

 

組織内の活動と共に、第三者審査を受ける際の窓口業務も行っているケースが多くあります。

これらの経験を持つ方がISO審査員を目指す場合は、実は審査員になるだけであれば、乗り越えるべき山は決して高くない、というのが実際のところです。

 

その時点でJRCAやIRCA登録のISO審査員資格を保有していなくても問題ありません。

審査員としてどこかの審査機関と契約を結んでもらう、となった際に、始めて審査員資格が求められるケースに遭遇するからです。

 

また、審査員資格で「認定」ということはありません。

あくまで個人の方は保有できるのは、資格です。

 

 

4.コミュニケーションスキルの高い人:

 

これはISO審査員のみならず、すべての社会人に期待される能力ですね。

そしてコミュニケーション能力の高い方はISO審査員を目指す以外にもさまざまなチャンスが目の前に広がっています。

よって、ここで言及すべきは単なるコミュニケーション能力ではなく、

組織の成長・発展に寄与するためにコンサルタント、コーチという視点でものごとを捉え、対処することができる人が向いている、と言い換えるべきでしょう。

 

ISO審査員は、基準に対しての適否の判断をします。

自らが行うのではなく、他者が行った業務の確認、評価が仕事、ということになります。

 

従って、確実にその事項について合致しているかしていないか、言い換えれば〇か×かのの評価判定をすることが得意、という方にはピッタリの業務内容、ということになります。

 

その代わり、当事者は自分ではありませんので、自らが手を下さないとすっきりしない、という方にとってはISO審査の業務はフラストレーションがたまるリスクがあります。

あくまで組織側が主体となって取り組まなければならないからです。

 

そういう縁の下の力持ち的なコミュニケーション能力をお持ちの方にとっては、活躍できるフィールドが広がっているお仕事、と言えます。

 

 

5.グローバルな視野を持っている人:

 

これはもちろん間違っているものでは全くありませんが、その手前があります。

審査の現場では以前も記しましたが、殆ど国内での業務エリアで完結です。海外との連係の中でなにか、という話はまず起きません(一部のグローバル大企業が審査先であれば別)。

 

そうなると、国内完結型のビジネスモデルの中での審査活動ということになります。

そこで期待される視点、視野は経営管理への興味関心です。

 

ISO審査をなぜ組織は受けるか、と言えば、

それはお客様のため、という視点ももちろんありますが、それよりも自社の成長発展、場合によっては生き残りのためにISO審査を受けるわけです。

 

その経営者マインドを理解できなければ評価される審査を行うことはかなり困難です。

 

中小企業であっても海外展開は行われているご時世ですので、グローバルな視点はISO審査員であれば持っていて当たり前、とは言えますが、それはあくまで必要条件であって、十分条件ではありません。

 

組織経営に関する興味関心はビジネスパーソンであればたとえ経営者ではなくても持っていなければ、という言い方はあちこちでされています。

しかし口では簡単に言えても、実際のその視点を保有している人がどれだけいるものか。

そしてこれは大企業から中小企業まですべての組織で共通の課題です。

どうぞISO 9001なら品質の専門家、ISO 10401なら環境の社内専門家というレベルにと経つされていることを自負されている方であっても、経営管理に関する視点、視野は常に持ち続けることが必須だ、と理解しておいていただければ幸いです。

(了)