この判決の異常な点は3つあります
・違法性の全く無い日本の商業捕鯨が、それによる被害を全く受けていないオーストラリアという無関係の第三国に訴えられ敗訴した事
・南氷洋はオーストラリアの物ではないのに、その権益を認めるような判決が出た事
・鯨の捕獲については国際捕鯨委員会(IWC)という専門機関があり、日本の調査捕鯨はそれによって認められた合法的行為にも関らず、加盟国同士である筈のオーストラリアがIWCを無視して日本をICJに提訴した事
内陸国を除くと海岸に面した国は領海を持っています
これは海岸線(内水域)から12海里(約22km)と定められており、更に12海里(合わせて24海里)を接続水域として領土と同様の権利と施政権を認められています
更にこれとは別に200海里の圏内を排他的経済水域(EEZ)として漁業や海底資源を独占できる権利を持っているわけです
日本海のような狭い海で複数の国の領海やEEZが被る場合はその中央で区切る事を基本に、当事国の交渉で細かい線引きをします
周囲を海に囲まれたオーストラリアも広大なEEZを持っているわけですが、当然その中に他国が勝手に入ってきて漁業をする事はできません
ちなみにオーストラリアは元捕鯨国ですが、現在は行っていません(同じく日本の捕鯨を非難してるアメリカに至っては現在も捕鯨国ですが)
なので日本がオーストラリアのEEZで“勝手に捕鯨を行ってる”なら完全な違法行為ですが、勿論そんな事はありません
日本の南極海での調査捕鯨はオーストラリアのEEZの外で行われており、この事にオーストラリアが口を出す権利は全く無いのです
例えば当然の如く日本のマスコミは全く報じませんでしたが、去年の10月に中国海軍は沖ノ鳥島とフィリピン北部の中間海域で長期間に渡って軍事演習を行いました
その間日本の民間商船はその海域を通過する事ができず大変な迷惑を被りましたが、公海上の事であり日本には非難をする法的根拠がなかったのです
この演習海域は日本の領土である沖ノ鳥島・沖の大東島を基点とするEEZに食い込む海域に設定されており、この演習が中国軍の目指す第1・2列島線確保の布石なのは明白でした
中国海軍の3大艦隊の内の東海艦隊と北海艦隊は日本の南西諸島によって閉じ込められており、自由に太平洋への出入りが困難です
中国がカジノにすると嘘をついてウクライナから手に入れた
この南西諸島ですが沖縄本島と宮古島の間に島のない約300kmの隙間があり、日本の領海・接続水域が途切れた公海になっている為、ここを突破するルートの確保が中国海軍の当面の目標となっています(中国が尖閣を欲しがる理由のひとつで、しょっちゅう潜水艦を通過させては日本の絶対防衛線を突破したったアルwと喜んでいますが、勿論全て日本側は探知済み。ここを海自の探知網に気付かれずに通行する事は米海軍の潜水艦にも無理と言われてます)
中国は第1列島線の内側である黄海~東シナ海~南シナ海をアメリカへの報復核戦力である戦略原子力潜水艦を潜ませる聖域とし、第2列島線の内側をそれらを守る攻撃型潜水艦・水上艦で支配し米軍の影響力を排除することで太平洋の西半分を手に入れたいのです
同時に日米安保を無力化し、日本の経済活動を妨害する事で日本を没落させチベットやウイグル同様の属国化を目論んでいます
しかし公海上の軍事演習は経済活動ではないので、例えEEZに食い込んでいても抗議はできないのです(米海軍の艦船がそれをやった時は中国はその権利も無いのに抗議してましたが)
つまりEEZの外は誰の物でもない公海であり、誰かが独占する権利もなく、逆に合法の経済活動について文句を言える権利もありません
公海でも独占できる場合があります
例えば日本は去年、国連海洋法条約に基づく公海域の深海底鉱物資源を管理する国際海底機構理事会の承認を得て南鳥島の南東沖に3000平方kmのコバルトリッチクラストの探査鉱区の排他的権利を獲得しました
↑↑↑ ( ・∀・)「自分で書いててワケわかんね~w」 ↑↑↑
要は国際機関での話し合いによって公海の一部に海底資源開発の独占権を得たという事です
探査であり実際に資源が出るかは確定してないし、技術的に採掘も難しくコスト面の問題もあるので許可=確実に入手できる保証は何もないのですが、例えて言うなら「埋蔵金を掘ってみるならあそこの山貸すよ?」みたいな事です
これをどこかの国が「日本だけずるいアル、そこはウリの物ニダ」と言い出しても意味がないでしょう
つまり国際協調による合意の元に許可があれば権利が与えられるわけで、日本の調査捕鯨もこれに当たります
逆にオーストラリアの主張とICJの裁定は、公海である南氷洋にオーストラリアの権益を認めたのと同義であり、今後EEZの定義や南極開発の権益(南極はどこの国にも属さない、資源開発も認められない地域だが、オーストラリアやアルゼンチンなど幾つかの国は権益を主張している。1980年代に発生したフォークランド紛争にはイギリス・アルゼンチン間の南極権益争いという側面があった)に影響を与えてしまった点で禍根を残す事になるでしょう
最近の例で言えば、浦和レッズのサポーターがある試合で差別的なスローガンを描いた横断幕を掲げたとしてJリーグから無観客試合のペナルティを課されました
浦和がこれを不服と考えたなら、まず異議を申し立てるべきは直接の競技団体であるJリーグ機構でありその親会社的存在であるJFAでしょう
そこで埒が明かなければスポーツ仲裁裁判所という国際機関があります
それらを素っ飛ばしていきなり普通の地方裁判所にJリーグの無観客試合の勧告に対して不服申し立ての仮処分を申請するのは明らかなルール違反です
それをした場合、Jリーグのシステムを無視したわけですから会員資格の停止や追放といった処分が課されても仕方なくなります
裁判所の方もプロサッカーという特殊な世界のトラブルは、それが犯罪行為や特定の個人への人権侵害、明らかな反社会的行為でない限り口を出そうとはしない物です
例えば野球の世界ではドラフトという制度があり、プロ野球選手になりたい人はその制度を無視して好きな球団には入れません
これは明らかな『職業選択の自由』という基本的人権を侵害する制度です
また契約期間が終了した選手が自由契約にならない限り所属していた球団としか再契約の交渉が行えず、これに違反すると任意引退として実質的にプロ野球界を追放されますが、これも法的に言えば完全にアウトです(メジャーリーグに任意引退で行った野茂秀雄さんはこれによって日本球界に復帰する時は近鉄以外の球団と再契約交渉ができなくなりました。まあ本人も復帰する気はなかったでしょうが)
日本の裁判所に訴えても“違法である”という判決を得るのは難しいでしょうが、地裁高裁レベルで負けておいて、その上でスポーツ仲裁裁判所に訴えれば99%勝てるでしょう(その上で最高裁で「ん?どうすんの?」と圧力を掛ければ合法だとは言えなくなるでしょう)
ヨーロッパではベルギーのボスマンという選手が「こういう制度はおかしいだろ、常識的に考えて」と裁判所に訴えた結果、契約期間が終了した選手は違約金や移籍金なしに自由に好きなチームと契約交渉できるようになりました(その結果ボスマンさんは干されましたが)
上位のスター選手は何億円もの年棒を貰うプロスポーツ選手に、一般の労働者と同じ権利を与えるのは見当違いと言うべきでしょう
またバスマンさんはEU統合でEU圏内の労働者が外国人扱いされなくなったのだから(ビザや労働法で差別されない)、サッカーチーム等にあった外国人枠という制度が差別である訴えて勝ち撤廃された結果、一部の裕福なクラブが各国の代表クラスのスター選手をかき集めて外人部隊化して自国の選手が誰もいなくなったという現象が発生しました(長友が在籍するインテルミラノはある試合でイタリア人選手が1人も出場しないという事が実際にあった)
特別法は一般法に優先するのはどこの国・世界でも共通のルールです
日本の裁判所も一般家庭や町内会のような小団体が相手でも独立性を認め、犯罪的であったり反社会的なことでない限り強権的に介入しようとはしません
例えば家族の間での窃盗事件もまずは家庭内で解決することを勧めるものです
前述しましたが、日本もオーストラリアも国際捕鯨委員会に加盟しています
そしてICJは日本に調査捕鯨を認めています
さらに日本が行っていた調査捕鯨の南氷洋はオーストラリアの領海でも排他的経済水域でもありません
つまり日本の捕鯨はオーストラリアに何の被害も与えてはおらず被害者でもない以上日本を提訴する資格はなく、提訴するにしてもまずはIWCであるべきでICJに訴えるというのは重大なルール違反と言えるし、ICJがIWCの存在を無視してこれを取り扱うのも異常な事なのです
例えば、ある家庭で児童虐待が行われていたとします
何の関りもない近所の他人がこれを警察や児童相談所に通報することは出来ます
それが勘違いだったとしても、現在の法律では通報者が罰せられる事はなくなりました
オーストラリアがやった事は通報どころではなく、親権の剥奪の裁判を起こした、と云う様なことでしょう
オーストラリアは毎年数百頭のカンガルーを増えすぎとして処分している訳ですから、自分の家庭で残酷な児童虐待をしてる人物が他人の家の児童虐待で親権剥奪の裁判を起こした事になる訳です
まあ日本がやっていたのは裏山で野鳥を猟銃で採ってきて、家で捌いて食べていたら残酷だと訴えられてしまったと言う様なものでしょう
日本は狩猟許可地域で、猟銃免許などの資格を完璧にそろえて行っていた合法的な行動なのだったのですが、隣に住んでたオージーさんは野鳥の会の人で、鳥が大好きで飼ってもいない鳥を守るために野良猫を殺しまくってるような人だったと言う感じです
オーストラリア人に限らず、白人世界の反捕鯨論者の言い分は「鯨は人間に次ぐくらい賢い動物なので、殺すべきではない」となります
牛や豚は愚かな家畜だから殺しても良く、人間に奉仕できる事を彼らは喜び、神もそれを認めている、という所でしょうか
インド人にとって牛は神聖な動物ですから、インド人10億人が「牛を殺すな」と声を上げれば欧米人は牛肉を食べる事が出来なくなりますが、彼らは当然受け入れるんでしょうね?
イスラム教徒にとって豚は不浄な動物らしいのですから、イスラム教徒が自分達の住む社会では豚肉を食べるな、豚を調理した器具や食器を我々の前に出すなと声をあげれば、イスラム系移民が増加する欧米の国々は豚肉を食べるのを辞めるんですよね?
鯨はエサが人間の漁業対象と一部重なる為、ある意味では害獣だとも言えるのです
21世紀は中国・インドを初めとした新興国で人口が爆発的に増加する一方で、天候不順や水害干害で食糧供給が釣り合わない食糧危機の時代になる可能性が高いのです
水産資源は人類にとって有望な調達源となるでしょうが、鯨はそれを荒らす害獣として認識されるようになるでしょう
今現在鯨の保護を訴えて日本の捕鯨を非難してる人達が、同じ口で「鯨なんか滅ぼしちまえ」と叫ぶ様になると私は思ってます
すると彼らは「鯨は絶滅の危機に瀕してる動物だから」と言うのですが、それが本当かどうか確認する為の『調査捕鯨』を日本がやっている訳で、科学的な調査を禁じて心証だけで鯨は減っているから捕獲するなというのは、
<ヽ`∀´> 「物証はないが心証は確実ニダw」
川ヽ`∀´> 「ウリの証言が最大の証拠ニダw」
という某民族と同じでしょう(両方とも実際に言ってる)
これはネトウヨジョークではなく、科学調査を人知主義で潰せる前例が出来たわけで、安倍政権が戦後スキームからの脱却というプロセスの一環として進めようとしている『従軍慰安婦についての河野談話の見直し』という内政問題を国際司法機関が干渉して禁じる事ができる可能性が出てきてしまったわけです
捕鯨自体は別に太平洋でもやっているので『今のところ』大した問題ではありませんが、直接の被害者でもないオーストラリアが起こした提訴で日本の調査捕鯨の一部が禁じられた事の異常性を放置すれば、いずれオーストラリアに限らず世界中の国々がそのとばっちりを受ける事になるでしょう
そういえば、
週明けにはオーストラリアの首相が公賓として来日するそうです
どのツラ下げて日豪友好を訴えるつもりなんでしょうか
( ・(エ)・) 「ほぇほぇクマー」