技巧に走り精神力を忘れたドイツ、守備の美学に驕るイタリア、そして覚醒した悪童
厳しい試合になると思われたユーロ2012準決勝イタリアvsドイツは、2-1でイタリアの圧勝となりました
2得点はバロテッリのドッカンドッカンと擬音が聞こえてくるような豪快なシュートが見事に決まり、プランデッリ監督の狙い通りと言ったところです
最初の15分間はドイツが攻めまくり、一方的な展開になってしまうのかと思っていたら…
サイドでちょんちょんとパスを繋ぎ、カッサーノが3人に囲まれながらもかわして上げたクロスをマークに付いたDFを外したバロテッリがヘディングで合わせて先制点
ヘディング自体より、DFをかわした動きの方が見事な得点でしたね
それでもまだ前半の15分なのでドイツも慌てることなく再び攻めまくるも、GKの守護神ブッフォンが全盛期を彷彿とさせるビッグセーブでイタリアのゴールを守ります
そして34分自陣深めからモントリーヴォが前線にロングボールを放り込むと、オフサイドラインギリギリから飛び出していたバロテッリに綺麗に繋がり、ドイツGKノイアーと1対1でこれまた豪快に振り抜いてミドルシュートがゴールに突き刺さりました
グループリーグの時はパスのタイミングが合わず何度もチャンスを潰していた形でしたが、ここに来て見事にハマった感じです
2点目を取られた時に映った、観客席のドイツサポーターのおばちゃんの頬を伝う涙が印象的でした
この2失点ともバロッテリの上手さも目立ちましたが、実のところドイツDF陣のミスが致命的要因になっています
1点目のアシストになったカッサーノのクロスですが、ドイツは2人がプレスをかけ1人がパスコースを塞ぐ形でカッサーノを囲んでいました
ここは無理にボールを奪いに行かず縦のドリブルと横のクロスのコースを切っていれば、カッサーノは攻め手を失いバックパスするしかなかった筈です
しかし囲んでボールを奪いに行った為、混戦の中でかわされクロスを上げられてしまったのです
バロッテリのマークに付いていたDFもボールウォッチャーになってしまい、裏に回られたバロテッリを見失ってヘディングシュートを決められてしまいました
2点目はCK崩れのカウンターで守備に残っていた2人の間にバロッテリを挟んでいる形で後方からロングパスを放り込まれた時、エアポケットのようにラーム(攻撃的SB)とポドルスキ(FW)の2人の動きが止まってしまいました事がミスでした
本当にオフサイドギリギリのタイミングではあったものの、イタリアがこの種のパスを多用しているのはGLの時から分かっていた筈なので、何の対処も出来なかったのは無策に過ぎます
2点目を決めたバロテッリが思わずユニフォームを脱いでドヤ顔を決め、イエローカードを貰っていたのも御愛嬌です
2点先制されてからのドイツはうろたえてしまったのか全くと言っていいほど攻撃に迫力が無くなり、イタリアファンの私としては安心して見ていられる位恐さを感じませんでしたね
後半に入るとイタリアは守備を楽しむかのような余裕すら感じさせていました
その結果4分のロスタイムに入った時、ペナルティエリア内のハンドでPKを取られ1点を返されてしまいます
試合終了後GKブッフォンが憮然としていたのも浮かれかかっていた自分達への戒めだったのでしょう
後半44分を回った辺りからは、GKノイアーがCKで攻撃参加するわセンターサークル付近で守備をするわと意地を見せていましたが、他のドイツの選手達に死に物狂いとでも言う様な焦りや負けん気を感じる事が出来なかったのは残念です
その挙句に最後のワンプレーとなるFKでノイアーがゴール前に上がって行ったにも拘らず、ロングボールを放り込まずにショートパスを繋ごうとしてそのまま試合終了の笛
はっきり言って間抜け過ぎます
かつてのドイツサッカーはこうした状況でも精神力で追いつき延長に入って逆転するようなタフさで知られていたものですが、現ドイツチームはテクニックが洗練された一方で精神力を失ってしまったようです
若い選手で固めたせいか、精神的支柱になるような闘将の存在が居なかったからでしょう
2011年に若返りを図るためにミヒャエル・バラックを代表から追放したことが影響してないとは言えないと思います
まあ、これを糧に2014年ブラジルW杯に向けてチームを醸成していければいいのですが
一方イタリアですが、これまでも散々問題にしてきたバロテッリが覚醒したようです(!?)
決勝は前回王者で2010年W杯でも優勝しているスペインで、GL初戦で1-1と互角に戦った相手ですが準決勝をポルトガル相手に0-0からPK戦で勝ち上がって来ており、得点力に疑問符が付いています
今回のユーロではエースのビジャを負傷で欠き、フェルナンド・トーレスは長~~~~~~いスランプに沈んだままで実質的にFWがいない状態のスペイン代表となっています
更にはDFリーダーで不動のキャプテンであるプジョルも怪我で不参加と攻守に迫力を欠き気味
とは言うものの、ここまで無敗で勝ち進んできているスペインは8得点1失点
対するイタリアは6得点3失点、しかしスペインが奪われた唯一の失点はイタリアが挙げた物
イタリアはバロッテリが覚醒したと言ってもそこはまだ21歳で信頼しきるまでには至らず、さらに日程面で苦しく疲労が残ったままで7月1日の決勝を迎えねばなりません
ベテランの多いチームなので疲労は大きな要素となるでしょうが、決勝戦は単純な戦力分析で勝敗を占えるような物ではないのも事実です
どうなるかは全く予測できませんが、言うまでもなくイタリアファンの私はアズーリの勝利、否、優勝を疑いません
( ・ω・) 「ドイツサポのおばちゃんの涙に衝撃を受けました。果たしておいらは日本代表が2点先制されて泣けるほど代表を、サッカーを愛してるでしょうか」