こんにちは!スタッフのMです。
今回は航空機の操縦中に起こる錯覚について紹介しようと思います!
まず、飛行中に錯覚に陥ることってあるの?と思うかもしれませんがかなり遭遇するようです。
錯覚にも種類がいくつかあり、あらかじめ知識を持っておくといざ錯覚に直面しても落ち着いて対処できます

滑走路の幅による錯覚
通常より狭い幅の滑走路に進入するときは飛行機が実際の高さよりも高い高度にあるような錯覚を起こします。これを錯覚と気がつかないとパスが低くなり、障害物に衝突するおそれがあります。
また通常より広い幅の滑走路では逆に早すぎるフレアによりハードランディングあるいは接地が遅れ滑走路をオーバーランすることがあります。
テクノバードのシミュレーターで再現してみました。
この2枚は同じ高度です

神戸空港は滑走路長2500m、滑走路幅が60m
岡南飛行場は滑走路長1200m、滑走路幅30m
どうでしょう
同じ高度とは思えないですよね


この2本の滑走路だと幅と長さがどちらも半分なので少々わかりにくかったかもしれません。
なので初めて行く空港の標高や滑走路のサイズは入念に調べておくといいですね

滑走路の勾配による錯覚
上り勾配の滑走路はパイロットは実際の高さよりも高いところにいるような錯覚を起こします。この錯覚に気付かないと進入パスを低くしてしまいます。また下り勾配の場合は逆の錯覚に陥ります。
神津島 RWY29 (上り勾配)
これだけ勾配があると進入のパスが高いのでは

と錯覚に陥りがちです。
RWY11 (下り勾配)
パスが低いように見えますねー

空港によれば滑走路の中央までは上り勾配、それ以降は下り勾配のところもあります

小型機同士だと反対側が見通せないので同じ滑走路にいる飛行機が隠れてしまうこともあります。
地上物標が無いときの錯覚
地上物標のない場所では、たとえば水面、暗い地域、積雪に覆われた地形では、パイロットは実際の高度よりも高く飛んでいるように錯覚します。これに気が付かないとパスが低くなりやすいです。
岡山空港(夜)
滑走路以外なにも見えん、、、
これらの錯覚による着陸操作の誤りは進入中にそれらを予測し、不慣れな飛行場のときは着陸以前に空中から目視点検を行うこと、可能ならばグライドスロープもしくはP A P I (進入角指示灯)を利用し、着陸操作における熟練度を維持することなどによって未然に防止することができます。
※グライドスロープについてはこちらのブログで説明しています。
三半規管による錯覚
三半規管でも判らないほどゆっくりとバンクをつけ急激に修正すると、反対方向にバンクしているような錯覚が起きます。
飛行機を元のバンクに戻そうとして逆にバンクを深めてしまいます。
この場合飛行計器を見ることでリカバリーできます。
凝似水平線による錯覚
傾いた雲の稜線や不明瞭な水平線などによって、飛行機の姿勢を勘違いする錯覚です。そのために錯覚を起こしたパイロットは飛行機を危険な姿勢に移行させてしまいます。
前線面の傾いた雲による錯覚
テレビのお天気コーナーでよく耳にする温暖前線や寒冷前線は斜めに傾いていることが多いので、山間部などでは水平の目安となるものがないので雲が水平だと誤解しがちです
こちらも飛行計器を見ること防止できます。
空間識失調
飛行中のスロットルの加減速、操縦桿の操作、気流の乱れ、外の景色などの錯覚から生じる空間識失調は、信頼できる飛行計器を判読することによって防止することができます。
たくさんの錯覚を紹介してきましたが少し難しかったでしょうか

テクノバードのシミュレーターでは錯覚の再現や錯覚に陥ったときに見るべき計器も分かりやすく解説させてもらいます!