一番最初に書いた記事で、このブログを始めるきっかけとなったドラマ、「東京女子図鑑」。
このドラマは、東京で働く女性たちのさまざまな生き様を描いているが、「自立」ということが一つの重要なテーマとしてとりあげられていた。
対して前回紹介した「架空OL日記」はいわゆる「日常系」という作風で、登場するOLたちはまったりと生きていて、正面切って自立をテーマとして扱っていない印象である。
自立という概念については熊谷晋一郎先生の「自立とは依存先の数が多いこと」という至言がある。
困った時に頼れる先が多いのが本当の自立であって頼れる先がひとつしかないのが「依存症」だという考え方にも激しく同意する。
最近読んだ依存症の専門家である松本俊彦先生の著書にも熊谷先生の言葉が引用してあったのだが、
この本は、対象とする読者が中高生だからか松本先生のパーソナルヒストリーにおけるなんとも味わい深いエピソードが紹介されており、グッと親近感や臨場感が高まった。
話は戻って、
「東京女子図鑑」に登場する女子たちは世間的には認められている価値基準に無批判に依存している傾向が強く、人から認められたい、羨ましがられたいという思いに動機づけられていて、むしろ不自由に見える。
対して「架空OL」たちは、そもそも銀行員という特別華やかではないが安定した職業に就いていることもあるだろうが何かに強迫的に執着したりせずほどほどに煩悩を持ってその日その日を楽しく暮らすことに長けておりことさらに「自立」を意識することはないようである。
「東京女子」の主人公が上京して最初に住んだのは三軒茶屋だったのだが、その三軒茶屋の雰囲気について思い入れたっぷりの独白が語られるシーンがある。
そして「架空OL」では、お昼の社食で仲良しグループのOLの1人が三軒茶屋を略して「三茶」と言ったことがないというのでみんなで「三茶」と言わせる練習をさせるという他愛のないシーンがあり、なんだかこの2つのドラマの違いを象徴しているような気がする。