さて、今日も私の不得意分野

金属分析について


前回の金属分析ネタでは、

前処理の際に使用する酸による、

測定対象金属の損失例を簡単に挙げました。


今回は、

前処理に使用する酸によって、

その後の機器分析に及ぼす影響です。


まずは、

水素化物発生法による、AsとSeの分析

本分析法において、前処理に硝酸を使用すると、

残存した硝酸が、水素化物を形成する反応を妨害します。


この場合は、硝酸による分解後、

硫酸を添加し、硫酸白煙まで加熱します。

それにより、硝酸を完全に除去させることが出来ます

実作業では硝酸と硫酸を同時に添加して処理しているようです。


次に、

電気加熱原子吸光やICP-MS分析法による、塩酸の影響


電気加熱原子吸光法の場合

前処理に塩酸を使うと、

炭素炉での炭化段階で塩化物として揮散する金属が多くあります


ICP-MS法の場合

Asを測定する場合、スペクトル干渉の原因となります

これは、Asの質量数75とアルゴン+塩素75とかぶる為です。

ただし、

コリジョン機能のついたICPMSを用いると、

スペクトル干渉の影響を受けません

このような装置を用いると、試料に適した酸を用いることが出来るので、

非常に便利です。


では最後に分析装置と最適な酸を示します。

フレーム原子吸光法

硝酸、塩酸、過塩素酸


電気加熱原子吸光法

硝酸


誘導結合プラズマ発光分光光度法

硝酸、塩酸、過塩素酸


誘導結合プラズマ質量分析法

硝酸

*ただし、ヘリウムコリジョン機能が有る場合は他の酸も可能



不得意分野でも少しずつ引き出しを増やしていかないとですね。



ランキング参加中です。もしよろしければクリックお願いいたします。

奪取:技術士(環境部門) ~Trilingual Professional Engineer ~英語・中国語も にほんブログ村 資格ブログ 自然・環境系資格へ