よく考えたら、もう3月の中旬。
春ですよね。
寒いですが・・・・。
プロ野球のオープン戦真っ盛り。
パリーグは来週末に開幕!
そうこうしているうちに選抜高校野球も始まります。
メジャーも・・・。
野球好きにはたまらない時期がやってきました。
冬は冬で、ラグビーなどありますが・・・。
また、この14日には名古屋女子マラソン。
今日の中日新聞にも三面にわたり、特集されていました。
高橋尚子、野口みずきに次ぐ、ヒロヒンの登場が待たれるとのことです。
まだ、野口みずきは引退していませんが・・・。また、彼女の”強い”走りを見てみたいです。
さて、先日、絶縁油中のPCBについて以前述べましたが、
今日は、最近出た絶縁油中の微量PCBの簡易分析マニュアルについて。
まずは、簡易と書いてありますが、決してその簡易と言う言葉に惑わされてはいけません。
まずは、どの方法が採用されたか見て見ましょう。
機器分析法
・高濃度硫酸処理/シリカゲルカラム分画/キャピラリーガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器(GC/ECD)法
・加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/キャピラリーガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器(GC/ECD)法
・溶媒希釈/ガスクロマトグラフ/高分解能質量分析(GC/HRMS)法
・加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/トリプルステージ型ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS/MS)法
・加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/ガスクロマトグラフ/四重極型質量分析(GC/QMS)法
・PCBの一部の化合物濃度から全PCB濃度を計算する方法
生化学的分析法
・加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/フロー式イムノセンサー法
の7種類です。
まず、これらの中から、
最も精製効果があると言われている、
高濃度硫酸処理/シリカゲルカラム分画
について、説明したいと思います。
本方法は、ガスクロマトグラフ法のみならず、
生物試験(イムノセンサー法)の前処理としても採用されております。
この前処理は、三浦工業の「ラピアナ」を用いて行う自動前処理手法です。
前処理の内容は、多層シリカゲル(上段に硫酸被覆シリカゲルと下段に硝酸銀、硝酸銅被覆シリカゲル)
とアルミナカラムを合わせた前処理となります。
特徴は、多層シリカゲルの硫酸被覆シリがゲルを85度に60分間加温することにあります。
多層シリカゲルの上層部のみを加熱するには、専用の装置「ラピアナ」に頼るしかないようです。
そして、なんといっても紺前処理方法は油種に関係なく同一操作で前処理が可能な点です。
油種に関係なく・・・・油種にはどのような種類があるのでしょうか?
下記の通りとなります。
JIS C2320 電気絶縁油より。
絶縁油の種類 用途
1種 | 鉱油 | トランス、コンデンサ、OFケーブル | |
2種 | アルキルベンゼン | コンデンサ、OFケーブル | |
3種 | ポリブテン | コンデンサ、OFケーブル | |
4種 | アルキルナフタレン | コンデンサ | |
5種 | アルキルジフェニルアルカン | コンデンサ | |
6種 | シリコーン油 | トランス | |
7種 | 1種絶縁油と2種絶縁油の混合絶縁油 | トランス、コンデンサ、OFケーブル |
また、この7種意外にはDOPでフタル酸ジニエチルヘキシルもあります。
別の前処理方法では、この油種によって処理方法が異なります。
油種が分かれば良いのですが、分からない場合は非常に困りますね。
と言ったことから、この高濃度硫酸処理/シリカゲルカラム分画
は非常に便利だと思います。
ただし、ラピアナの購入による初期投資や、
カラムが二本必要になることによる、ランニングコストが気になります。
一方で、全部自動なので、人件費が安くなる可能性はありますね。やってみないと分かりませんが・・・。
では、この前処理方法、どのような仕組みで精製されるのでしょうか?
まず、多層シリカゲル
こちらでは、加温しながら処理することにより、
芳香族炭化水素やPAHの除去を行います。
ある文献でも、
・硫酸シリカゲル処理では、加温することにより、
多環芳香族、単環芳香族の除去効率が上がる。
・硝酸銀シリカゲル処理では、加温することにより、
多環芳香族が脱着しやすいが、硫黄化合物の除去率が向上する。
とあります。
多層シリカゲルで除去できなかった、
有機化合物(パラフィン)の除去をアルミナカラムで行います。
この処理は、目的対象物質であるPCBはアルミナカラムに保持され、
パラフィンは通り抜けます。
この様にして、狭雑物を取り除いた後、アルミナカラムに残ったPCBを85℃に加温しながら、
抽出溶媒にて脱着します、
脱着溶媒は、機器分析の場合はトルエン、生物試験の場合はDMSOとなります。
この前処理は192号にある、DMSO液々分配とその後の硫酸処理や硫酸シリカゲル処理を
応用したものとなります。
この方法では、合成油のようなものをDMSO分配した場合は、
PCB以外にも芳香族炭化水素等も一緒にDMSO側に来てしまいます。
そこで、硫酸処理やシリカゲル処理をするのですが、
室温では、芳香族炭化水素の除去は困難で、多数回処理を繰り返さなければなりません。
そこで、先に述べましたが、
加温することによりシリカゲルによる、芳香族炭化水素の除去率を上げた。
と言うことです。
このように、分析対象物質と、除去したい教雑物。
それぞれの特性を知ることがよりよい精製ができる手立てになるということですね。