私が社会福祉ボランティアと出会ったのは、昨年の冬でした。
社会福祉とは、全く縁のない世界にいた私は、何が社会福祉かもわかりませんでした。
ある人との出会いにより社会復帰を知りました。
長澤さんは非営利ボランティア団体
「セルフケアー」の代表
で、冬の競艇帰りに、いつものように、さっきまでエンジンがついていた車の下で眠ろうと思い、車を探していたところ声を掛けて頂きました。
「失礼ですが、見たところ車上荒らしには見えませんが、何をなさっているのですか?」
それが、彼の第一声でした。
私は、「いや、寒いのでエンジンのついていた車を探して、その下で眠ろうと思いましてね」
そう言うと彼は、
「危ないですよ、轢かれてしまいますよ、お酒も飲んでるでしょ?」
私は、ワンカップを持っていましたし、おそらくベロベロでしたが、あまり心配を掛けたくなかったので、
「いや、これは花瓶ですよ。花を居れて飾ろうと思いましてねo(^▽^)o」
「そうですか、わかりました。私は福祉団体セルフケアーと言う団体で活動をしています、もしご迷惑じゃなければ、今夜、私たちの施設があるので良ければ一緒に来ませんか?」
と、声を掛けてくれました。
競艇に行きは、その日の寝床を探し、職安に行けば、そんな甘い仕事はないと罵られ、仕事も行く場所もない私に…
私に、、、
私は感動して、長澤さんに着いて行きました。
セルフケアーは私と同じ様に、社会から離脱してしまった方々が沢山いました。
その全ての方々がギャンブルやドラックや酒でした。
私は中でも比較的若い方だったせいか、すぐに受け入れてもらえました。
お酒を飲んでいたら、突然奥さんと娘さんが消えて居たと言う不思議体験を持つ、鈴木さん(恐らく仮名)
奥さんに蚊が止って居たので、奥さんを叩いてしまったら、蚊と共に奥さんが居なくなってしまったと言う不思議体験を持つ、佐藤さん(恐らく仮名)
見た事も無い不思議な妖精を追いかけていたら、銀行の金庫の前に辿り着いてしまったと言う不思議体験を持つ、田中さん(恐らく仮名)
皆さん不思議体験を経験された方ばかりでした。
まずは、ギャンブルからの離脱、そして酒の離脱。
長いこと、社会と縁の無かった私にとっては、本当に辛い日々でした。
目を閉じれば、広がる競艇場、人の声が聞こえれば、競艇場にいるのかと思ってしまう。
外の緑を見れば競馬場に居るのかと思い、つい大声をあげてしまう。
水の音を聞けばオートレース場かと…
日常を頭の中から断ち切る事は本当に辛い事でした。
喉が渇き水を飲めば、酒の味がし、お湯を飲めばワンカップの味がし、何をしても、なかなか酒を断ち切る事が出来ません。
字を書く練習、人とのコミュニケーション、身体を動かしながら、少しづつセルフケアーでの生活に慣れはじめました。
セルフケアーでは、鉛筆を箱に詰めたり、ボールペンを組み立て、学校や施設に配給をする仕事をしていました。
私の場合、外にでると誘惑も多いので、配給はもう少し身体が慣れて来てから。
と言う事でした。
が、少しでも社会に慣れはじめたいと思い、思い切って外に出る事にしました。
不安とは裏腹に思ったより、誘惑もなく何事もなく、配給を終えました。
少し戻るには早かったので、公園に立ち寄りました。
すると、スポーツ覧の多い新聞紙が風で飛んで来ました。
気付くと、私は競馬場に居ました。
恐らくこれが、俗に言う不思議体験の中の瞬間移動と言うものなのでしょう。
左手にはワンカップと赤鉛筆、競馬新聞の三種の神器を手にして声を張りあげていました。
トイレに行き自分の顔を見ると、とても生き生きとしていました。
それ以来、セルフケアーには行かなくてもよくなりました。
福祉の素晴らしさに心打たれ、この度、社会復帰を果たしました。
今日元気に競艇!競艇!
明日はオートレース!