
本日のドクターヘリ(小林,松井先生,清水看護師)
1件目 胸痛・・・結果は・・・
いつものように救急覚知同時要請事案です.「胸痛.」情報は以上.場所はスキー場近くの山間の町.機内では12誘導,輸液などの準備が行われています.ヘリはランデブーポイント上空に到着.まだ支援車が来ていません.ならば現場直近に着陸可能な場所がないか見に行きましょう!現場はランデブーポイントから少々離れています.上空から救急車を発見.今,現着したようです.遠いなあ,正直な感想.直近に着陸出来そうな場所が見当たりません.そうこうしていると,支援隊がランデブーポイントに到着したようです.であればランデブーポイントに着陸して支援車で現場まで向かうことにしましょう.雨上がりのグラウンドは砂塵を巻き上げません.静かに着陸,我々は支援車に乗り込みます.曲がりくねった山道を駆け上がります.空からだとすぐなのですが.どうやら救急車は現場出発したようです.無線でドッキングポイントを決め,そこで落ち合います.支援車から救急車に乗り込み診療開始.救急車をランデブーポイントへ走らせながらの診療です.胸痛は若干持続.本人は何となくしんどいと.12誘導心電図では虚血を疑わせる所見なし.血圧は?190mmHg以上あります.いつもより高めだそうです.松井先生は病歴を詳しく聞いています.「昨日も胸痛があって,なんだか右上肢が動かしにくかった.今日朝起きたら何ともなくなってた.胸痛はちょっと楽になったよ.昔事故にあってから背中や胸が痛くて開業医に通ってる.」患者さんはしっかりしておられます.心エコーでも心嚢液なし,心機能は大丈夫.小生と松井先生は診断に悩みます.病院選定をどうするか?しかし,二人とも何となくひっかかるところが・・・「これ,大動脈解離じゃないですか?」松井先生と小生の考えは一致していたようです.ならばオーバートリアージでも迅速な対応が可能な病院を選定しなければなりません.山を1つ越えた街の救命救急センターに電話します.いつもの先生.小生の大先輩です.「どうぞ.」いつもの一言.ありがたいです.気流が悪く少々揺れましたが,患者さんは落ち着いた状態で引き継がせていただきました.
搬送後,お返事をいただきました.「A型解離でした.かなりやばい状況で緊急手術を行い一命を取り留めました.」 現場での救急医の感覚,トリアージ能力が功を奏した事案です.消防の適切なヘリ要請から始まった救命の連鎖が見事につながりました!
2件目 施設間搬送(急性硬膜下血腫)
TECCMCへの転医依頼です.透析患者さんの硬膜下血腫.急に増大したようです.血液疾患もあり,どうやら慢性硬膜下血腫の急性増悪のようです.緊急手術と術後の集中治療,全身管理が必要な症例.当センターの得意としているところです.陸送であれば40分以上かかりますが,ヘリなら5分.飛行中も救急車ほど揺れないのです.ランデブーポイントで患者さんを引き継ぎ,TECCMCへ急いで帰ります.
治療方針を脳外科チームと協議,緊急手術と術後管理.翌朝には患者さんの意識はほぼ清明に回復です.
本日の症例は救急集中治療医として学び深き事案でした.