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 1%でも可能性,望みがあるなら医師の早期現場投入の適応と考えてます.それが結果的に空振りであってもかまわないのです.今日はそんなヘリ事案がありました.

本日のドクターヘリ(小林,幸部先生,安積看護師)
1件目 山中で意識なし
 お昼前の要請です.「場所など詳細は不明.山中での意識障害.」 取り敢えず指定されたランデブーポイントに向かいます.フライトしながら運航管理室,当該消防本部から情報収集.現場の山を特定します.15分弱で現場上空.空から探索すると細い林道を登っていく救急車が1台・・・その先にもはや道はありません.どうやら林道からさらに山を登ったところが現場のようです.林道の登り口に救助車が停車中.ランデブーポイントに降りて移動するよりも,登り口直近の農道に着陸してダッシュした方が早そうです.ということで消防の許可をもらって農道着陸(写真①).いつものごとく,資機材をもってダッシュです.林道昇り口では指揮隊も到着し現場活動の方針を検討します.情報が入り乱れますが,どうやら傷病者は救急車停車場所から約20分程度登った斜面にいるようです.防災ヘリでの吊り上げを検討しつつ,防災ヘリの出動,現着までは1時間近くかかると予想されます.ならば詳細はわかりませんが,現場に行きましょう!長時間の活動が予想されます.別事案対応の可能性も考え,幸部先生はヘリ待機.小生と安積看護師で現場に向かいます.まずは支援車で登れるところまで林道を駆け上ります.林道の最終地点に到着(写真②),そこからは資機材を担いでの登りです.ヘルメット着用,長袖,革手袋装着.現場投入の多い我がドクヘリクルーの必須装備です.靴はいつも安全靴.足場の悪い山の斜面を救助隊と共に登ります(写真③).10kgのトーマスバックはなかなかきつい・・・ひたすら可能性を求めて登ります.20分後,先着救急隊,救助隊によて斜面で処置を受ける傷病者に接触.残念ながら状況は厳しい・・・時間経過などを考慮し,これ以上の処置は中止とします.あとはこちらに向かっている防災ヘリで吊り上げてもらい,直近の病院での確認とします.その旨を携帯で病院連絡.現場でどれだけ待ったでしょうか,やっと防災ヘリが到着です.航空隊により吊り上げ作業開始(写真④).終了後,全員で下山です.下山は10分少々.フライトスーツは泥まびれです.
 今回は残念な結果になりましたが,少しでも可能性があれば,助かるかもしれない患者さんがいれば安全を確認,自身の体力を考えた現場投入になるのでしょう.さて,次の出動があるかもしれません.疲れた~なんて甘えている場合ではありません.

2件目 ショック
 やはり要請がはいります.病院ヘリポートに帰投直後の要請です.「意識障害,ショック.」 この情報からおそくらくは心大血管系の病気が考えられます.ランデブーポイント到着と同時に救急車も滑り込んできます.急いで車内に乗り込むと,急変!脈拍20台,頸動脈触知不可,死戦期呼吸!心肺停止!!即座に胸骨圧迫開始.AED装着.幸部先生は気管挿管,小生は末梢ルート確保し薬剤投与です.1サイクル.心拍再開なし.2サイクル.まだダメです.心エコーで心嚢液貯留なし,胸水なし,腹部大動脈瘤なし.病歴などから心筋梗塞か!?人工心肺の適応も考え,オートパルス装着しヘリに搬入,一番近い救命救急センターへ搬送とします.いつも通りに迎えてくださった救急の先生に申し送り,途中で加わった循環器内科の先生にも申し送り(久しぶりにあった小生の同級生でした).蘇生の可能性など判断していただき人工心肺の適応判断をお願いします.
 とその時,別事案の要請です.

3件目 意識障害
 引き継ぎを速やかに終え,離陸.飛行時間は20分強.「意識障害.いびき様呼吸.」脳血管障害か?患者さんの状況もですが,日没が近づいており速やかな現場対応が必要です.機内で血糖チェック,低血糖以外なら鎮静下で気管挿管.ルート確保含めヘリ機内で行うことを確認しあいます.ランデブーポイントにはすでに救急車が到着.数分で患者さんの引き継ぎ修了.離陸しつつルート確保.血糖チェック.意識障害では必須.ヘリクルーであれば言われずとも準備万端.すると・・・「LOW」 ブドウ糖を投与すると目が開きます.低血糖発作でした.一同安堵です.
 結果は低血糖でしたが,非常に適切なヘリ要請でした.もし脳血管障害であれば,陸送時間,治療内容など考えると2次性脳損傷の可能性大でした.これからも遠慮ないヘリ要請をお待ちしております.

 本日はなかなかバラエティーに富んだミッションでしたが,どの事案も非常に適切なヘリ要請でした.より早期に患者さんのところに行く,ここから病院前救急診療が始まるのです.本日もお世話になり,ありがとうございました.