
早期医療介入の究極は現場への医師投入です.そのためには救急覚知同時要請が原則になります.消防機関の理解と協力がなければ成し得ないことです.当ドクターヘリの医師・看護師現場投入率は全出動件数に対し約20%.かなり高い数字だと思います.そんな中,本日は3件の現場投入.ヘリ着陸場から現場まで元気良く「ダッシュ!」×3事案です.
本日のドクターヘリ(小林,三浦先生,米田看護師)
1件目 施設間搬送(脳内出血)
朝礼中に施設間搬送の依頼です.前医で診断,気管挿管済み.TECCMCへは手術を含めた治療目的に転医搬送です.陸送であれば1時間はかかりますが,ヘリなら10分もかかりません.降圧をはかりながらTECCMC搬入です.
2件目 1BOX CAR横転
救急覚知同時要請です.「車の横転.閉じ込めあり.」との情報.現場は谷間の路上.現場上空まで10分弱,救急隊の現場活動状況を確認します.現場からランデブーポイントまで5分以上かかります.すると現場のすぐ横に休耕田が.安全を確認,確保した後に着陸.しかし,休耕田はぬかるんでおり,ヘリはエンジンカット出来ません.ならば医療クルーは資機材を持って降り,ぬかるんだ田んぼの中を現場まで走ります(写真左側).安全靴が役立ちます.我々を降ろしたヘリは離陸しランデブーポイントへ.我々は現場で外傷初期診療を開始します.ABCD OK.救急車内へ搬入しランデブーポイントへ走らせます.走りながらも診療を続けます.FAST negative.どうやら下肢には骨折がありそうです.我々の乗り込んだ救急車はランデブーポイントに到着,ドクターヘリに患者さんを乗せかえTECCMC搬送です.
現場,ランデブーポイントといろいろご協力,ご支援いただいた消防の皆様,指示の変更などでバタバタさせて申し訳ありませんでした.今後ともよろしくお願い申し上げます.
3件目 意識障害
2件目の搬送途中に要請が入ります.ヘリポートでの引き継ぎを段取りします.数分後,ヘリポートに着陸,エンジンカットなしに患者さんを搬出,迎えに来てくれたスタッフに速やかに引き継ぎ,我々は再び上空に舞い上がります.「船上での意識障害.」との情報.どうやら漁に出たまま連絡が取れなくなり,海上保安庁,漁船などで捜索されていたようです.ドクターヘリは10分でランデブーポイントに着陸,そこから患者さんが引き上げられている港までダッシュ!意識障害です.救急車に搬入し診療を続けます.低血糖なし,舌根沈下あり,瞳孔下方偏視,血圧高い.脳血管障害を強く疑います.2次性脳損傷を防ぐためにも気管挿管の適応と判断し,十分な鎮静下に気管挿管.三浦先生は鮮やかに決めます.この時点で救急車はランデブーポイントに到着済み.ヘリに乗せかえかかりつけ病院の救命救急センターに搬送です.
4件目は文字数の関係で次のブログへ・・・
「医師が現場に出向く意義」,これを実践するためには当地域のような消防本部の理解が必要不可欠です.是非参考にしていただければと思います.