
本日は夕方まで穏やかなTECCMCでした.ヘリ要請もなく,初療ものんびりムードです.たまにはこんな日もないと.と思っていた矢先に1本の電話です・・・
本日のドクターヘリ
1件目 施設間搬送(肝損傷,出血性ショック)
いつもお世話になっている救命救急センターの先生からの電話です.「昨日搬入され,肝損傷に対してガーゼパッキングした患者さんが安定しません.ドレーンから大量に出血が続きずっと急速輸血をしています.なんとかなりませんか!?」「我々でどこまで出来るかわかりませんが,喜んでお引き受けします.日没が迫っているので早急にヘリ要請願います.」 その数分後,ヘリ要請です.切迫した患者さんの状況,おそらくはTECCMC総力戦になりそう.日勤の番匠谷先生に居残りの連絡,休みなのに院内をうろうろしていた幸部先生,岡本先生もGET,そして本日の相棒の岡先生,夜勤の松井先生,山邊先生.ヘリは20分弱で先方のヘリポートに着陸.患者さんを引き継ぎます.日没間際,必要最小限の申し送りだけで離陸です.ドレーンからの出血は続きます.肝損傷以外にも頭部外傷,胸部外傷も合併した多発外傷です.岡先生は機内で人工呼吸管理をオキシログ3000で行います.PEEPをかけ換気量を調整します.輸血,輸液は全開!機内からTECCMCへ電話連絡.「初療室開腹(ERL)の準備,輸血準備,FFPは溶かし始めて.後15分で着くよ!」 夕日のヘリポートに着陸,初療室へダッシュです.
そして長い長いTECCMCの夜が始まります・・・
初療ではすでに手術器械が展開されています.松井先生は麻酔をかけ始め,その間に看護師さんたちは点滴ルートの整理とモニタ装着.皆が統制良く動き回ります.岡本先生は松井先生のサポートと先方の画像チェックと情報収集.小生,幸部先生,岡先生,番匠谷先生は清潔ガウンを着てERL開始です.搬入から5分,不完全だったパッキングガーゼを除去,肝の損傷部位を確認,速やかに適切なガーゼパッキングを行います.これで静脈系の出血は制御,1層に閉腹,循環は立ち上がります(写真).
後はいつもどうり,造影CT撮影.やはりありました,造影剤の血管外漏出!ではそのまま血管造影,TAEを行いましょう.血管造影は番匠谷先生,岡先生に任せます.ところが,血管の走行が正常ではありません.どうあがいても目標血管にアプローチ不可能なのです.動脈性の出血を制御しなくては救命困難となってしまします.実際,動脈性の出血が持続しており腹部も膨隆,人工呼吸器の一回換気量も減少しています.このまま指をくわえて見ている訳にはいきません.血管内治療が不可能なら直視下に治療です.再開腹し右肝動脈の結紮を決断します.移動可能な循環動態であり,今回は手術室で手術を行います.
小生,番匠谷先生,幸部先生で手術です.開腹するとやはり動脈性に出血が続いています.型通りに肝門部を処理し右肝動脈を結紮,直後から術野の出血は制御されます.ガーゼパッキングはそのままおいて閉腹,ICUへ入室です.
ICU担当の山邊先生にバトンタッチし全身管理.ここまでくれば大丈夫でしょう.TECCMCの救急医たちは朝方各々の寝床に帰っていきました.後数時間でまた新たな勤務が始まります.つかの間の休息・・・
ご紹介いただいた先生,ありがとうございました.救命に向けてこれからがんばります!ドクターヘリが医療圏を確立し,救える命を確実に増やしています.