ドクターヘリ出動中に現場救急隊より「腹腔内臓器損傷の可能性あり」との情報が.ドッキングし診察を行うと,気道,呼吸,循環は安定していましたがFAST positive.受傷直後だからこれで済んでるのでしょう.消防の要請の早さと観察能力,評価能力の高さが救命に直結します.末梢ルート2本で初期輸液開始.加圧バッグは機内,上空で重宝します.機内で呼吸,循環が安定したことを確認,ヘリポートからそのままCTへ.外傷CTプロトコールに準じた撮影・・・膵損傷,後腹膜・腸間膜内出血です.ヘリポート着陸から約30分で全身麻酔がかかって,手術室へ. 循環が保たれているから余裕があります.開腹すると膵頭部(鈎部)にIII型損傷あり.主膵管は???お決まりの術中膵管造影です.十二指腸を切開し直接乳頭部に膵管チューブを挿入し造影します.主膵管は大丈夫!IIIa型損傷です.挫滅組織をデブリし縫合,止血を確認し膵前面,後面にドレーンを挿入し手術終了です.術者の岡先生は相変わらずの安定感と手術に関するうんちくを惜しげもなく披露してくれました.

外傷は救命救急センターへ.24時間対応の外傷外科医の存在と院内対応能力.この地域はもはや救急医療過疎ではなくなりました!

本日のドクターヘリ
1件目 軽トラック横転,閉じ込め事案(上記の膵損傷事案です)
2件目 脳梗塞(残念ながらt-PA適応になりませんでした)

明日は午前中に災害訓練が計画されており,ドクターヘリも参加します.