ジニョク Act10
広報部の組織図、コピー機の使い方、休憩のとり方、そして上司や先輩の取り扱い方…さまざまな指導を午前中は受けた。いまから社員食堂の使い方。パク課長代理がごちそうしてくれるという。お茶だけ。入社式は軽い食事もついたから。。
「Aは味噌チゲ定食、Bは、なんか、はいからだなー。キノコスープパスタアンシェフ風だって」
へぇ、おいしそうだな。キノコは大好きだ。
「わたし、アンシェフ風で」
いつの間にかへインが後ろにいた。
「わたしも便乗していいですよね?パク課長代理」
と、ちゃっかりへインもおごられに来た。
「…もちろんだ。ウンジンさん以外はおごるさ」
「なんですかそれ」
へインの後ろにウンジンさんがいた。なんだか不穏な空気がまた…
「ウンジンさんは同じ30代だからね。甘やかしは不要だ」
ウンジンさんが課長代理をにらんでいる。ふ〜、へインより怖そう。
「わかったよ。ウンジンさん今日だけ特別だ」
「けっこうです。わたしもイケメンにおごられるようにしているので」
こんなことをずけずけ言いあえる二人がなんだかおかしかった。はたから見たら、ぼくと普段のへインもこう見えるのかもしれないな。
ぼくはデザートセットとやらだ。課長代理はみそチゲで女性軍はアンシェフ風のスープパスタだった。いろんな部署の人がいて、まだまだ会社は知らないことだらけだってわかる。会社の食堂なら、代表が来ることもあるんだろうか。
「ここは社員だけ利用するんですか? 部長とか…代表も利用したりするんですか」
「部長はともかく、代表はないな」
とパク課長代理が教えてくれた。
「まえ、来てたわよ。いまは来られなくなった、かな」
ウンジンさんが意味ありげに語った。パク課長代理はピンとこないみたいだ。
「代表がか?」
「覚えてないの?広報のくせに。たまたま出入り業者が食堂で会ったってSNSにアップしちゃって問題になったじゃない」
「問題ですか?」
へインがぼくのかわりに聞いてくれた。