1016日日曜日、コンサートの夜4

 

会場の前にドクソンがいた。昼のあのかっこのままだ。寒そう。でも、間に合った。

「どうしたの。」

息がきれてなんにもいえない。

「なんで、ここにいるのよ」

ドクソンは聞いてくる。息を整えながら、ぼくは答えを考える。どうしてだろう。対局、さぼるなんて、ほんとどうかしてるさ。からだもつらい、でも、気持ちがいい。

イ・スンファン、やっぱり聴きたくなって。チケット、もうないかな

ドクソンは、怪訝そうにぼくを見る。

「…チケット…あるわよ…」

ドクソンはそういうとだまる。

「ぼくに売ってくれる?」

「…先輩に、聴いてきたの?」

「先輩ってドクソンの?なんで?」

「ううん、別に。…一枚ちょうど、あまってたから。いいわよ、あげる。」

「買うよ」

「いいよ…彼氏こられなくなったから、あまってたの。…ふられたわけじゃないからね」

「うん。わかった。入ろう」

ドクソンと中に入る。会場は2階だ。階段を上りながらドクソンは振り返る。

「ほんとに、ふられたわけじゃ、ないからね」

まだいってる。こういう、子供じみたところがかわいい。かわらない、君は。大好きだ。今度、ジョンファンに話そう。逃げないで。二人で対決だ。あらためて、ぼくがドクソンを好きなこと。君の気持ちも知ってること。財布の中身見たこと。うそついたこと謝って、…謝って、ぼくはドクソンに好きだと言おう。

「途中でね、事故にあったんだって…」

 階段を登りきってもまだ、つまらないいいわけを続ける。

(もうだまって、ドクソン。)

君をふるばかな男の話なんてもういいから。ぼくはジャケットをドクソンにかけた。

「寒くないわよ」

強がりばっかり君はいう。

「ぼくが暑いから、着ててくれ」

ぼくたちは会場に入った。もう曲が始まっていた。あ、運命の曲だ。誕生日の夜、みんなでこの歌を聴いた。消えたのではなくて、ただ心の奥底に沈殿していた気持ちがかき回されたあの曲。ステージの光で、ドクソンのシルエットが浮かび上がる。「おお~」とドクソンがつぶやいて振り向いた。ニコニコしたドクソンの顔が近づいて、ぼくの耳元でささやいた。

「テクの誕生日に、テクの部屋で聴いたね」

なんだか嬉しくて、心臓が壊れそうだよ。