今回は神話ではなく、実在した人物について書きたいと思います。
8世紀ごろの中国、唐朝の陸羽が「茶経」を発表しました。
茶経は世界でもっとも古く詳細で全面的にお茶を紹介していると言われており、中国では「お茶の手引書」と称されています。上、中、下巻から成り立ち、全10章7000以上の字で書かれています。
お茶の歴史や茶器、飲み方から産地についてだけでなく、茶道の精神も垣間見ることができます。中国のお茶文化の発展に貢献しています。
陸羽の伝説を一つ紹介します。
陸羽は孤児と言われています。育てた寺に先輩のお坊さん、積公という方がいました。
積公は飲んだお茶の種類を言えるだけでなく、誰がいれたお茶なのかも当てられるそうです。この噂はお茶を嗜む当時の皇帝の耳にも入り、積公は謁見するよう呼ばれ、実際にお茶当てをしました。
積公は渡されたお茶をもらうと一口しか味見をせず、それ以上飲もうとしなかったそうです。皇帝になぜもう飲まないのかと尋ねられると、”恐れながら申し上げますが、私はいつも陸羽のお茶を飲んでいるゆえ、他の方がいれた茶の味は薄く感じてしまいます”と言いました。
皇帝はさらに陸羽の居場所を尋ねると”私にもわかりかねます。陸羽はお茶を探求する旅をしています”と答えました。
その後皇帝は苦労してやっと探し出した陸羽は、みすぼらしい見た目の上どもりながら話しをするが、彼の知識広さや造詣深さには感心したそうです。
皇帝のために陸羽が自身で採った茶葉を使ってお茶をいれました。
カップのフタを開けるとお茶の香りが鮮やかに立ち、一口飲めば精神が健やかに奮い立たされ、二口飲めば芳醇な甘さが感じられました。大変美味しいお茶だと皇帝が絶賛しました。
皇帝はもう一杯お茶を陸羽にいれさせ積公に届けました。すると積公は全部飲み干してからすぐさま”陸羽はどこだ!”と喜びながら皇帝の所に向かったそうです。
皇帝は陸羽の才能を認め、宮廷に住み茶師を育てて欲しいと言いましたが、陸羽は富を顧みず、これを辞してまた国中飛び回り「茶経」を書いたそうです
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今の時代ならば、情報は安易に手に入れられます。陸羽が生きた約1300年前はもちろんお茶についての情報はなく、彼は中国の各地を奔走し、飢えや渇き、疲労などに抗いながら現地の人々に話を聞き回っていたことかと思います。戦もあったことでしょう。考えると尊敬の念を抱かずにいられません。
iPhoneをガラケーに戻そうかなと、時代の流れに少し逆らって行きたいと思ってしまいます(Apple信者の私には難しいと思いますが^^)。
因みに、残念ながら私はまだ茶経の詳細を読んでいません。今後の課題とさせて頂きます。