丸山俊一氏は、私が大好きなNHKの「欲望の資本主義」シリーズを手がけているプロデューサーの方です。その方が「14歳からの個人主義」という本を出されたと言うので読んでみました。

 


なるほどと思ったのを一つご紹介すると、ラカンが、乳幼児が生後6ヶ月から一年程度で鏡に映った自分を認識する段階に達するのを「鏡像段階」と名付けたとのことですが、ここでは鏡像を自分と同一視するということが起こっているわけですね。同じことがSNSでも自分のアカウントが自分であるという錯覚に陥ってしまっているのではないかと、問いているのには、はたと納得させられました。

 

本書は「14歳からの...」ということで中高生向けなのだと思いますが、大人も読むと良いと思います。人生を生きることが大変な現代、日々の仕事や、今ならコロナ禍で、心に負担が多くて、行先を見失いがちなことも多いと思います。そんな時、自分というものをどう考えるか、他者との関係性をどう考えるか、など、洋の東西を問わず賢人の言葉をひきながら示唆を与えてくれる本書は、人生の立ち位置を考える上で良い気づきを与えてくれるのではないかと思います。