- Long TailやFreeなどの著書で知られるChris Andersonの新作「MAKERS」を読んでみた。
3D PrinterやCNCが安価になりつつあり、一般人がそういう装置を使える場所が増えつつある。MITのメディアラボが始めたFab Labもそういう場所の一つだし、様々な中小工房がCADデータを送ればすぐに試作品を作ってくれるようになっている。Laser PrinterとPCが組み合わさりDesktop Publishingが花開いたように、Desktop Manufacturingの世界がすぐそこに来ているようだ。そのDesktop Publishingの世界を切り開いたAppleのSteve Jobsがもし健在なら、今頃嬉々としてこの新しい波に乗り出して、新製品プランを練っていたのではないかと思う。
自分で考えデザインしたものをすぐに3D化できるというのは凄いことだが、現在出来ているのは、素材(木とかプラスチックとか金属)を削るか、あるいは、2Dレベルで作ったものを張り合わせて3D化するということだ。Appleのアルミ筐体がCNCを用いて作られていることは有名だ。究極的には、Star TrekのReplicatorの世界の実現を目指すのだろうが、これには現状は程遠い。ただ、この本の最後の方に書いてあるように、様々な技術革新がその方向に向けて考えられているようだ。
こういう夢の話以外に、身近な話として、製造業が今後変わっていくということが述べられている。デザインや設計がフリーで公開され、コミュニティーの中で改善され、どこかの企業がそれに基づきCNCやロボットを用いて製造するというわけである。製造過程がロボットやCNCでどんどん可能になってくると、人手を介するところが少なくなる。これが意味するところは、労働者のコストは製造全体のコストの主要なものではなくなるということだ。すると、わざわざ安い労働力を求めて海外の工場を使う必要もなくなってくる。最近、Appleが一部モデルの米国内での生産を発表したが、このような考えに基づくものだろう。今まで、特に製造部門はひたすら人件費の安いBRICSなどへの進出ばかりだったが、先進国内での製造部門の復活ということがありそうになってきた。日本の製造業もこの動きをいち早く取り入れるべきだろう。日本は元々工業用のロボティックスに強いのだから。
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