今年最初に読んだ本が、Richard Florida著の「The Great Reset」というものです。

この本の趣旨を簡単に言えば、人類は過去に経済的恐慌からの復活というグレート・リセットを2度ほど経験していて、現在その3度目が始まったところだということです。グレート・リセットと言うのは、新しいテクノロジーとそれに伴うシステムが台頭することによるイノベーションにより、経済・社会が一変すし、我々の生活の有様が変わることを意味しています。

一度目のリセットは、19世紀の1870年代の長期不況後に起こり、小さな都市や農村から人口が密集した工業都市への移行が起こりました。この頃、鉄鋼生産のイノベーションと電力(エジソンによる都市レベルでの送電システム)、交通(自転車の普及)、学校教育の分野でのインフラ整備が重なり合い、大規模な産業都市が次々とできあがりました。

二度目のリセットは、1929年の大恐慌後に訪れます。郊外への送電網の整備、フォードによる自動車の大量生産、ハイウエイの整備、(最近有名になった)ファニー・メイなどの連邦住宅抵当公庫による持家政策の推進などにより、都市から都市郊外への人口の移動が起き、ライフスタイルの変革が起きました。大恐慌の後は実は逆にイノベーションの機運が高まるようで、大恐慌の後4年間に73の研究所が新設されたり(前の10年は66)、NSFによる大学研究への資金援助や、大学生の数の大幅な増加など、イノベーションを生み出す環境も整備されているのは注目に値します。。

著者は、今我々は3度目のリセット期(The Great Reset)に入ったところだと主張しています。この3度目のリセットの特徴は、工業経済からアイディアに基づいたクリエイティブな経済へと移行し、いくつもの都市を包含したメガ地域が一体となり発展するだろうという予測が書かれています。たとえば、ジーン・ゴッドマンによりボス・ウォッシュ(Boston, New York, Philadelphia, Baltimore, Washington)と名付けられた地域には、5000万人が住み、2兆ドルの経済活動をしているそうです。世界には40のメガ地域があり、これらの地域に全世界の総人口の18%が住み、世界経済の2/3を動かし、世界の技術革新の85%を担っているとか。ライフスタイルの観点では、目立つ消費から繊細なステータスの時代へ移行し、所有から共有(share)へという変革があるのではとのこと。現在の都市がかかえるエネルギー効率の悪さを解消し、環境破壊の要素をなくし、移動時間のロスを最小限にとどめるような様々なインフラの整備により、このようなライフスタイルへの変革につながっていくのかもしれません。

グレート・リセット―新しい経済と社会は大不況から生まれる/リチャード・フロリダ

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