紅茶はどのように作られているのでしょうか? 製造過程における大きな特徴は、茶葉に含まれている酸化酵素の働きを利用することです。そのため緑茶とは違い、萎凋、発酵という工程があります。また、産地によって製造工程も少しずつ異なり、各地の茶の特徴が出るように製造されています。

 

まず、伝統的な製法であるオーソドックス製法をご紹介します。

 

注)文中に「水色」という言葉がありますが、これは「すいしょく」と読み、紅茶抽出液の色のことを指します。

 

 

 

 

オーソドックス製法

人手による伝統的な製法を機械で忠実に再現した方法。ダージリン、アッサムの一部、キーマン、スリランカのLow Grown(製茶工場の標高が約600m以下の低地)などの地域に限って行われています。

1. 摘採(てきさい)Plucking

茶摘みのこと。主な紅茶産地では、生葉(なまは)の若くてやわらかい部分である一芯二葉もしくは三葉が人の手で摘まれています。摘まれた生葉は傷がつかないように新鮮さを保ちながら工場へ運ばれます。

2. 萎凋(いちょう)Withering

生葉を萎(しお)れさせる工程。萎れさせて葉をやわらかくすることで、次の揉捻工程を容易にします。葉の内部では成分変化が始まり、生葉のフレッシュな香りに、花や果実のような香りが加わり始めます。

3. 揉捻(じゅうねん)Rolling

葉を揉む工程。圧力をかけて揉むことで茶の形状を整えていくとともに、茶葉の組織や細胞を破壊し、酸化酵素を含んだ茶汁を出し、空気に触れさせます。これにより酸化発酵が本格的に始まります。

4. 玉解き・篩い分け(たまどき・ふるいわけ)Roll breaking・Green sifting

揉捻後の茶葉は塊になっているため、この塊をほぐす工程。次の工程で均一に発酵を進めるために行われます。

5. 酸化発酵(さんかはっこう)Fermentation/Oxidization

酸化発酵を促進する工程。温度・湿度が管理された場所に茶葉を静置します。葉の表面の色は徐々につやのある赤銅色へと変化していきます。葉の内部ではさらに酸化発酵が進み、次第に熟した果実の香りやコクのある味わいが強まり、水色の濃い紅茶へと変化していきます。

6. 乾燥(かんそう)Drying

熱風で乾燥させる工程。熱により酸化酵素の働きが止まります。茶葉の外観は乾いて濃い褐色となり、紅茶らしい風味が固定されて「荒茶」となり、貯蔵や輸送に耐えられる品質となります。

7. 仕上げ(しあげ)Sorting

余計な茎や茶くずの粉などを取り除き、篩(ふるい)によって大きさ(グレード)別に分ける工程。仕上げられた紅茶は厳密にロット分けされ、オークションなど流通の対象となります。

より濃厚な紅茶がもっと早くいれられるように…と消費地での嗜好に合わせ、紅茶の製造機械も改良が加えられてきました。

 

 

 

 

 

 

セミオーソドックス製法

半伝統的な製法。オーソドックス製法による揉捻工程の後に、葉を切断するローターバンという機械に通すことで、オーソドックス製法に近い香りと味わいを生かしながら、より短時間で抽出できます。スリランカのHigh Grown(製茶工場の標高が約1200m以上の高地)をはじめ、各産地で行われている製法です。

CTC製法(アンオーソドックス製法)

現在、世界で最も生産量が多い製法で、より短時間で茶を抽出できるように開発されました。CTCとは、Crush(押しつぶす)、Tear(ひきさく)、Curl(丸めて粒にする)の略。ティーバッグなどに向いており、ケニアやアッサムをはじめ、各産地に取り入れられています。

 

 

 

普段、私たちが「~茶、~ティー」と呼んでいるものはたくさんあります。緑茶、烏龍茶、麦茶、ハーブティー・・・など。その中でも、緑茶、烏龍茶、紅茶は、実は、同じ茶樹から作られます。学名は「カメリア・シネンシス」(Camellia Sinensis (L) O. Kuntze) 、椿や山茶花と同じ科であり、ツバキ科ツバキ属の常緑樹です。本来「茶」とは、この「カメリア・シネンシス」から作られたものを指します。

 

 

では、紅茶と緑茶の違いとは何でしょう? それは、製造法の違いです。お茶の葉の中には酸化酵素というものが含まれていて、この働きを利用して製造するのが紅茶、利用せずに製造するのが緑茶なのです。りんごの皮をむいておいておくと褐色に変化してしまいますが、酸化酵素の働きとはまさにこのこと。この作用を「酸化発酵」と呼びます。


酸化発酵を利用する紅茶の場合、製造の過程で茶葉の色が緑色からつやのある褐色へと変化するだけでなく、水色(すいしょく:抽出液の色)も緑黄色から美しい赤褐色へと、香りは新鮮でグリーンな香りから花や果物を思わせる華やかで芳醇な香りへと、味わいはより深いものへと変化していきます。

 

一方、酸化発酵を少しだけ利用して作られるのが烏龍茶。実は紅茶の発祥の地は、この烏龍茶の製造が現在も盛んに行われている中国の福建省なのです。17世紀前半に中国からヨーロッパに紹介されたお茶は当初、緑茶でした。お茶の人気が次第に高まり、特にイギリスでは、より水色と味のしっかりした酸化発酵の強いタイプの烏龍茶(福建省産の武夷茶)が好まれるようになりました。イギリス人の嗜好に合わせて産地でさらに酸化発酵を進めていくうちに、完全発酵の黒褐色の紅茶(Black Tea)が生まれたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

- 酸化発酵による違い -

 
不発酵 緑茶
 
 
半発酵 烏龍茶
 
 
発酵 紅茶
 
 
中国からヨーロッパへの長い航海中に船倉で緑茶が変化し紅茶が誕生したという浪漫のある説がありますが、これは残念ながら間違い。製造の際の加熱で茶葉中の酸化酵素は機能を失ってしまい、輸送中に緑茶が紅茶に変化したとは考えられないのです。
 

いずれにしても紅茶は緑茶と同じ茶樹から作られる兄弟。製造のときにちょっと一手間加えて作られるだけで、色や味にこんなに違いが出てくるんですね。

 

 

ダージリンティー

 

ミルクティー

 

大好きな会社員です*

 

 

 

 

 

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