僕は施設に迷い込み、男を見つけた。
その男は頭から袋を被せられ、囚われていた。
どこかの施設のようだ。
男の食事は奇妙なドロリとした液体のみ。
常に人体実験をされており、約5年間拘束されているらしい。
僕は男に聞いた。
逃げられないのかと。
男は答えた。
一度だけ逃げたと。
男が逃げれたその日は鍵が掛かっておらず、拘束されている部屋から出れたらしい。
そしてそのまま庭へ続くドアを空けて外へ出た。
しかし、その外は異様な空間だった。
空を自由に魚が泳ぐ世界だった。
男は走った。
小高い丘を越え、丘を滑り落ち、小さな街へと向かった。
鮫が空から襲ってくる中、大きな滑り台に乗って街へと向かう。
滑り台のゴールには大きなナマズが口を空けていた。
小さな女の子がそのナマズを踏みながら遊ぶ姿を見た。
男は水面で釣り糸をたらす生き物を見た。
顔は崩れて白髭だらけの老人だった。
老人の顔からは苺が生えていた。
老人が苺を釣竿に付けて水へ投げると、中年男が釣り上がった。
中年男の顔からは吹き出物が出ており、老人は中年男の吹き出物から出る汁を食べた。
そのお返しに、老人の苺を中年男が食べていた。
おそらくここは地球ではなく、パラレルワールドなんだと悟った。
もしくは違う星なのだろうと考えた。
男は外の世界に幻滅し、施設へと戻った。
僕は思った。
施設で気味の悪い液体を飲んで拷問されるくらいなら、外の方がマシでは無いだろうか。
僕もこの世界から逃げる事が出来るのだろうかと。
Nと会う約束をした。
本当に会えるだろうか。
お腹の子供はどうするのだろうか。
おろすと言っていたが、産んだら自分は離婚してNと一緒になる。
妻を泣かせる事になる。
妻は大切で、離婚したら自殺するかもしれない。
そしてNと結婚しても、上手くやれる自信がない。
たぶん別れるだろう。
そんな日々に見た不思議な夢だった。