「噴水塔」特に名古屋っこに推したい歌集 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

歌集 噴水塔/KADOKAWA/角川学芸出版

好みの歌いっぱい:あったか気分あったか気分あったか気分あったか気分 /5
オススメ:15151515 /5


加藤治郎先生の
第九歌集「噴水塔」を読みました。


東京在住の頃のⅠ部と
名古屋に戻られてからのⅡ部の
作品が収録されています。

ネット用語なども盛り込まれた現代的な短歌から
コミカルな歌、不思議な歌
綺麗な歌……
そしてお父様の死を描いた真に迫る短歌も。

そして、忘れてならない
名古屋もの。

「噴水塔」は名古屋の方なら
誰でもご存知かと思いますが
鶴舞公園の噴水塔のことなんですよ。

この歌集には
「白川公園」という作品も入っていて
名古屋生まれのわたくしとしても
とても親しみやすかったです。

みなさんにオススメな歌集なんですが
特に名古屋っこに推したい1冊ですね。


お気に入りの短歌(引用)

ティーパーティーまずはカップを温める女王陛下の小さなくしゃみ

日常は処置室であるうす青いペットボトルに取り囲まれて

蜂蜜のひかりは細くなりながらトーストの淵ゆ底にしたたる

雨の日おアジアの屋台あかあかと俺は平たいヌードル啜る



まだまだありますが、
この辺にしておきます。


先日、加藤治郎先生に
お会いした際に
サインをお願いしましたら
快く書いてくださいました ↓




しんそこほしいさみしいすみか霜月の女生徒の弾くパイプオルガン


この歌も大好きです。
パイプオルガンって本当に大きいんですよね。
それを弾く女生徒は
うんと華奢に見えそうです。

霜月の凛とした空気と
上の句のひらがなのやわらかさと
サ行の重なりが
なんとも言えず美しいですねー。

1回再読しましたが
また読みたい歌集です。