- 硝子のボレット (新鋭短歌シリーズ14)/書肆侃侃房
ドキリ: /5
言葉が好き: /5
田丸まひるさんの歌集
「硝子のボレット」を読みました。
とにかく選ばれている言葉が
綺麗で惹かれます。
田丸さんの言葉が
かなり自分の好みなんですよ。
歌われているのは
ドキッとしちゃうような恋愛、性愛
そして精神科医でもある田丸さんの
お仕事を想像させる短歌です。
気のせいでしょうか、
食べ物や飲み物がよく比喩で
使われていて
そこがさらに私の好みにジャストフィットでした。
お気に入りは
いっぱいあったのですが
またきりがないので、
五首だけあげてみました ↓
桃色の炭酸水を頭からかぶって死んだような初恋
水蜜桃あふれてしまう本音までさらってくれてかまいません
はちみつはたっぷりかけて 大人びた子どものとがるうすいくちびる
粉雪か月の埃かわからないけれどあなたの髪にふれたい
愛してるどんな明日でも生き残るために硝子の弾丸(ボレット)を撃つ
桃色の炭酸水って表現だけで
ごはん三杯いけそうですよ。
なんともキュンとくる歌です。
そして、個人的に大好きなのが”月の埃”
なんだか分からないけども
それを理由に髪に触れたい。
切ない想いを感じます。
”月の埃”という言葉が出てくることで
ファンタジーの世界のような奥行きも感じて、
恋人同士のありがちなワンシーンなのに
かなり魅力的な一首でした。
そしてタイトルともなっている
硝子のボレット。
ビシッとキマったかっこいい一首ですね。
なんだか背筋がピンッとなります。
それと同時に生き残るための弾丸が「硝子」であることに
心臓がギュッとなるような痛々しさも感じます。
はっとするような発見
共感、切なさが詰まった
ステキな歌集でした。
いずれ再読したいですね。