「硝子のボレット」ドキッとする歌集 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

硝子のボレット (新鋭短歌シリーズ14)/書肆侃侃房

ドキリ:22222222 /5
言葉が好き:あったか気分あったか気分あったか気分あったか気分あったか気分 /5


田丸まひるさんの歌集
「硝子のボレット」を読みました。


とにかく選ばれている言葉が
綺麗で惹かれます。

田丸さんの言葉が
かなり自分の好みなんですよ。

歌われているのは
ドキッとしちゃうような恋愛、性愛
そして精神科医でもある田丸さんの
お仕事を想像させる短歌です。

気のせいでしょうか、
食べ物や飲み物がよく比喩で
使われていて
そこがさらに私の好みにジャストフィットでした。

お気に入りは
いっぱいあったのですが
またきりがないので、
五首だけあげてみました ↓


桃色の炭酸水を頭からかぶって死んだような初恋
水蜜桃あふれてしまう本音までさらってくれてかまいません
はちみつはたっぷりかけて 大人びた子どものとがるうすいくちびる
粉雪か月の埃かわからないけれどあなたの髪にふれたい
愛してるどんな明日でも生き残るために硝子の弾丸(ボレット)を撃つ


桃色の炭酸水って表現だけで
ごはん三杯いけそうですよ。
なんともキュンとくる歌です。

そして、個人的に大好きなのが”月の埃”
なんだか分からないけども
それを理由に髪に触れたい。
切ない想いを感じます。

”月の埃”という言葉が出てくることで
ファンタジーの世界のような奥行きも感じて、
恋人同士のありがちなワンシーンなのに
かなり魅力的な一首でした。

そしてタイトルともなっている
硝子のボレット。
ビシッとキマったかっこいい一首ですね。
なんだか背筋がピンッとなります。

それと同時に生き残るための弾丸が「硝子」であることに
心臓がギュッとなるような痛々しさも感じます。


はっとするような発見
共感、切なさが詰まった
ステキな歌集でした。
いずれ再読したいですね。