「怒り」信じることとはどういうことか | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

怒り(上)(下)/中央公論新社
   

一気読み:ワクワクワクワクワクワクワクワクワクワク /5
ドキドキ:02020202 /5


吉田修一さんの
「怒り(上)(下)」を読みました。


八王子郊外で
尾木夫妻を惨殺した山神一也は
1年を経ても
有力な目撃情報がないままだった。

偽名を使い、
整形をして逃亡を続けているらしく
テレビなどで特番を放映し
情報を集めるが、
決め手となる情報がない。



とある殺人事件があった1年後
漁港で暮す愛子のもとに現れた田代
ゲイの優馬が親しくなった直人
沖縄へ引っ越した泉が出会ったバックパッカーの田中
前歴を隠す男3人とその周辺の人々が
関係を深めていきます。

後半ではそれぞれが
八王子の殺人犯ではないのかという疑いが
生じてしまうわけなんですが、
誰が犯人の「山神一也」なのか
読者も一緒にドキドキする構造になってます。

最後までわかりません。
誰も該当しないかもしれないし
誰か一人が本当に殺人犯なのかもしれないですし。

前歴不明の男たちと
深い関係を築いてしまった登場人物たちの
信じたい気持ちと疑心とで
ハラハラドキドキ。
本当に一気読みでした。

ネタバレが怖いので
あまり書けませんが
人を信じることの大切さと
信じることの恐ろしさが同時に
伝わってくる傑作だと思いましたよ。

かなりオススメです。
映画化もするみたいです。