「ふるさと銀河線 軌道春秋」ほわっと優しい | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

ふるさと銀河線 軌道春秋 (双葉文庫)/双葉社

泣ける:000000000000 /5
ほっこり:あったか気分あったか気分あったか気分あったか気分 /5

高田郁さんの
「ふるさと銀河線 軌道春秋」を
読みました。


『お弁当ふたつ』
 佐和は無愛想な息子、小遣いをむしりとる娘、くたびれた夫と
 暮らすごく普通の女だった。ある日、夫の職場を訪れたところ
 すでに彼はリストラで退職していると聞き……。

『車窓家族』
 電車の沿線に古い文化住宅があり、カーテンもかけずに
 室内が丸見えの部屋があった。そこには老夫婦が暮らしており、
 多くの人間が車内から二人の様子を見守っていた。

『ムシヤシナイ』
 息子と絶縁状態になってから数年、久しく会っていない
 孫の弘晃が突然仕事先の駅そば屋にやってきた。
 すぐに教育熱心な息子との間で何かがあったと察した。

『ふるさと銀河線』
 星子は中学を卒業したら福祉の勉強をし地元で仕事に就くと
 決めていた。演劇部で賞をもらった星子の進路にみな驚いたが、
 育ててくれた兄や自身の才能など葛藤に苦しんでの結論だった。

『返信』
 十五年前、息子の徹からもらったハガキがきっかけで夫婦は陸別を
 訪れた。徹は3年前に妻と子を残して亡くなっている。若かりし日の
 息子の足跡を追う老夫婦は開発された陸別の風景に落胆していた。

『雨を聴く午後』
 証券会社に勤める忠はバブル崩壊後、辛い日々を送っていた。
 偶然、学生時代を過ごしたアパートを見つけ、ふらりと侵入して
 しまう。誰もいない室内には見知らぬ住人の暮らしがあった。

『あなたへの伝言』
 みゆきは多忙な夫の不在にさみしさを感じアルコール依存症に
 なった。今は立ち直るための別居中で参加している断酒の会には
 目標にできる人物もいた。しかし拭えない不安が常にあり――。

『晩夏光』
 物忘れがひどくなったとは感じていたが、つい昨日、
 息子の智男が訪れたことも忘れてしまっていたと気づき、
 恐怖を覚えた。なつ乃は病院で病名を聞き、ショックを受ける。
 
『幸福が遠すぎたら』
 倉橋酒造は不渡りを出しもうどうしようもない状態だった。
 そんな桜の元に”ポストカプセル郵便”が届く。16年前の親友から
 学生時代の仲間同士で会おうと、日付と場所が記されている。

 

「みをつくし料理帖シリーズ」が
有名な高田郁さんの作品です。

コミック原作をされていた頃の作品を
短編小説として出されたのが
こちら、とのことです。

どの短編も故郷や家族に
スポットライトが当たっている作品で
じわーっと泣けちゃうストーリーが
多いですね。

特に気に入ったのが
「車窓家族」ですかね。
停車した電車から丸見えの老夫婦の生活に
多くの人が癒されるという
ほっこりストーリーです。

見てはいけないと思っても
二人の食卓や、優しさの溢れる生活に
サラリーマン、OL、学生さんたちが
一喜一憂して見守っている様子を
短編の中でショートショートのように
綴っています。

何かそういうことって
ありますよね。
具体的に思い出せないですが、
同じ電車に乗り合わせた人に
共感をする瞬間みたいな……。

言葉は交さずとも
ほわっと嬉しい気持ちになります。

心が優しくなれるような
作品たちばかりです。
おもしろかったですよ。