「くもはち」 もっと読みたい。 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

くもはち/角川書店

文学史パロディ:食食食食食 /5
すごい設定:17171717 /5


大塚英志さんの「くもはち」を
読みました。
ブログのお友達Mirokuさんに頂きました。


『怪談と十五銭』
 明治37年、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの葬儀が行われるその日、
 のっぺら坊の挿絵画家”むじな”と怪談作家”くもはち”は、怪談のネタを求めて
 図々しく葬儀に参列していた。そしていかにも怪しげな人物がいるのを発見する。

『河童と白足袋』
 のっぺら坊”むじな”の写真館に怪談を買って欲しいという奇妙な男が現れた。
 ”くもはち”にそのことを告げると、ちょうど河童の話を書きあぐねていた”くもはち”は
 ”むじな”を連れて、男の語る怪談の舞台「花巻」へ行くと言い出した。

『蒲団と私的理(ヒステリー)』
 博文館から仕事の依頼が入った。しかし、それは小説の依頼ではなくて
 憑き物を落として欲しいという妙な依頼だった。聞けば、博文館編集主任の
 田山録弥なる人物が女物の蒲団に包まって、引きこもっているらしい。

『蜂蜜と外套』
 すっかり収入が減ってしまった”むじな”は幽霊写真の捏造という副業に
 手を染めていた。そんな折、写真に詳しい”むじな”を見込んで
 ”くもはち”から幽霊写真の鑑定という企画を持ち込まれ……。



明治時代の著名人がいっぱい出てくる
パロディ(?)要素満載の物語でした。

なぜか突然のっぺら坊になってしまった
挿絵画家”むじな”と
謎に包まれた三流怪談小説家の”くもはち”が
ラフカディオ・ハーン、夏目漱石、田山花袋といった
著名人の奇妙な事件に巻き込まれる連作短編です。

ものすごく好みのお話でした。

初めて読む作家さんですが、
適度にゆるい雰囲気、心躍る設定に
メロメロです。

”むじな”が過去を振り返るような文体で
お話が進むのですが、それがどうも”くもはち”が
いなくなった未来からの目線なのですよね。
心がザワザワします。

続きはないのでしょうか。
もっと浸っていたい世界なのに、
ここで終わりはさみしいですねぇ。

Mirokuさん、
本当にありがとうございました!
この本、かなりお気に入りになりました。
大事にします。



今日の1コマ。
何か大変黄色くなりました。
お絵かきソフト、使いこなせません。




くもはち……
妖精さんがキーワードだったのは
意表を突かれましたね。