「横道世乃介」大学生の他愛ない日常なのに…… | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

横道世之介/吉田 修一

笑:プップップップッ /5
しんみり:いまいち02いまいち02 /5


吉田修一さんの
「横道世乃介」を読みました。


大学進学のため上京し、
見慣れない光景にフラフラと歩き出した若者
横道世乃介。

大学では入学式でたまたま隣り合わせた倉持、
同じクラスでアイプチ二重の女の子・阿久津唯と
サンバサークルに入ることになってしまった。

周りに流されて
フラフラと怠惰な大学生活を
送る世乃介の一年間。



この作品は
ものすごく好みでした。

今までの吉田作品と
雰囲気が違いますね。
ゆるゆる脱力系です。

とにかくタイトルにもなっている
主人公「横道世乃介」の
キャラクターが素晴らしいのです。

夏場のクーラーだけが
目的で友人宅へ上がりこんできたり、
大事なサンバの発表会の前に
貧血で倒れてしまったり、
年上で全く脈なしの女性に
一目ぼれしてしまったり……。

どのエピソードをとっても
クスッと笑えてしまいます。
中にはその情景を想像して
爆笑しそうになったところもありました。

そして世乃介の大学一年生の頃から
数十年後のエピソードが
周りの人々の目線で挟み込まれているのですが、
これが今度はしんみりくるんですよ。

今までの吉田作品って
読後感がもわーっと怖かったり、
後味が悪かったりしましたが、
この作品はほわーっと温かい気分に
なれますね。