「青空の卵」ラブラブですね。困ります | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

青空の卵 (創元推理文庫)/坂木 司
いっぱい泣きます:ぎゃーーぎゃーーぎゃーーぎゃーー /5
人のつながり:☆☆☆ /5



坂木司さんの

「青空の卵」を読みました。



『夏の終わりの三重奏』

 自宅でプログラマーの仕事するひきこもりの親友・鳥井真一を

 連れ、近所のスーパーを訪れた坂木司は崩れ落ちるトマト缶から

 一人の女性を助けた。しかし女性の態度はひどく冷淡なものだった。



『秋の足音』

 坂木司は通勤途中にハンサムな盲目の青年・塚田を改札まで

 エスコートした。そして数日後、偶然公園で再開したとき、彼は

 誰かが後ろからつけてきていることを坂木に相談した。

 

『冬の贈りもの』

 友人の歌舞伎役者・安藤さんのもとに奇妙な贈り物が届いた。

 亀のはく製だ。翌日、その贈り主から奇妙な贈り物をしたことの謝罪の

 手紙が届いたが、奇妙な贈り物はその後も安藤のもとへ届き続けた。



『春の子供』

 夕方のラッシュ時に坂木は駅前にたたずむ一人の子供に目がとまった。

 待ち合わせの相手と無事に会えるのか。気になった坂木は、困ったら

 連絡するようにと自分の名刺を子供に渡す。



『初夏のひよこ』

 以前、奇妙な事件の際に知り合った中川夫妻が魚と家庭料理のお店を

 オープンさせた。坂木と鳥井はお土産を持って訪れる。坂木が

 宣伝しまくったおかげで知人たちがたくさんお店を訪れているようだった。



何ともほんわかと

癒される雰囲気のお話でした。


在宅ワークを仕事に選択するほど

徹底したひきこもり・鳥井真一が

日常の謎を解いちゃうという

連作短編集です。


鳥井自身も心に問題を抱えていて

とても不安定なのですが、

それを支えるのがワトソンポジションの

お人好しな会社員・坂木司です。


二人の関係が

とにかく濃密で

ちょっとビックリしますよ。


お人好し故に

極端に涙腺が弱い坂木は

何かとよく泣いているのですが、

それを見ると鳥井も泣き出します。


関西風に「なんでやねん」と

心の中でツッコミを入れちゃうのですが、

ほわーっと、温かい気持ちになってしまうのは

否定できませんね。


連作短編なのに

前の短編で出てきた人物が

ちゃんと友人としてその後も登場し続けるとういう

スタイルなので、

坂木と鳥井を中心にした一つの長編のようにも

感じます。


2人の関係の

その後も気になる作品でした。


こういうのって

「ボーイズラブ」というジャンルなのかしら……。

ハッキリと「そうだ」といえる表現は

ないだけに、きわどいところですね。