「蛇衆」”爽快”の一言に尽きる時代小説 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

蛇衆/矢野 隆
血:スプラッタスプラッタスプラッタスプラッタ /5
アツさ:ワクワクワクワクワクワクワクワク /5


矢野隆さんの「蛇衆」を
読みました。
Mirokuさんのブログで拝見しました。


室町末期、金で雇われ戦に出る
「蛇衆」という荒喰(あらばみ)がいた。

旋龍という奇怪な槍を扱う若者十郎太、

血河という大太刀で敵をなぎ払う美女夕鈴、

蛇のようにしなやかな体術を繰り出す朽縄、

金棒を扱う僧形の巨体鬼戒坊、

小さな無数の刃物で敵を貫く無明次

弓の名手孫兵衛、

そして6人を束ねる謎多き商人宗衛門。


戦から戦へと渡り歩く7人に

鷲尾嶬嶄から戦へ

加勢するように依頼が入る。


ところがこの戦から

朽縄の過去にとある疑惑が浮上し、

7人が陰謀へと巻き込まれていく。



第21回小説すばる新人賞受賞作とのことです。

面白かったです。


ただものすごく流血します。

苦手な人はご注意です。


しかし戦のシーンは

迫力満点。


マンガだったら、ほとんど擬音語だけで

「次週、乞うご期待!」

となる勢いです。


「蛇衆」の宗衛門以外のメンバーが

もう強すぎるんですよ。

敵をバッタバッタとやっつけます。

爽快、爽快。


ただ、「何でこんなに強いの?」という

”言ってはけない疑問”が

どうしてもよぎりますね。


紅一点の夕鈴は

女性であるという力のハンデを

ものともせずに大太刀を振るってますが、

彼女、剣術は蛇衆に入るまで未経験。


手ほどきをうけてから

才能があったのか

みるみる強くなった、とのことですが、

その数年の経験で

あの強さはどうでしょうか……。


主人公の十郎太くんも

実は同様。

槍を握って数年、戦場の経験が多いから

他の兵よりも格段に強いという設定です。


赤ん坊の頃から

大岩を背中に括り付けられ、

石段を「はいはい」して登っていた、

というエピソードでもあれば、

「なるほど」と思いましたが……。

強さの根拠がもうちょっと欲しかったですね。


ごちゃごちゃと

細かいことをいうときは

その作品がおもしろかったということです。


なぜなら他に文句がなくて

ブログが埋まらないから……ですよ。


「爽快」の一言に尽きる。


そして蛇衆の絆、友情も

胸がアツくなるラストシーンも

感動的です。


スカッとう爽快な気分になりたいとき

オススメな作品です。

ちなみにコミカライズされているそうですよ。


蛇衆 1 (ヤングジャンプコミックス)/長田 悠幸