一気読み: /5
流血: /5
貴志祐介さんの「悪の経典」を
読みました。
蓮実聖司は
生徒からも慕われ、ほかの教師からは
頼りにされる英語教師であった。
問題児を多く抱える
蓮実のクラスは
毎日、事件や新たな問題が発生する。
- 蓮実はそんな事件を
- 手際よく解決していくが、
- その手際のよさに不穏な気配が
- 混じり始める。
これはいろいろな意味で
すごい作品でした。
貴志作品はいつも
一気に読んでしまいますが、
この本は今まで以上の吸引力が……。
読み始めたら続きが気になって
眠れなくなりました。
読み終わるまで中断できない
ある種の呪いです。
英語教師の蓮実は
共感能力が欠如している
サイコパスで高い頭脳をもっています。
表面上は有能で信頼が篤い教師ですが、
実は過去に何人も殺害し、
その頭脳で司直の目を欺いてきたという
殺人者なのです。
徐々にリアリティから
かけ離れた展開を見せますが、
その頃にはすっかり蓮実先生に
ハマり込んでしまいます。
怖いのは、殺人者である蓮実側に
立たされ、何となくその殺戮を
見守っている感じがする。
先生の犯罪が露見しそうになると
「いやー」っと、ドキドキしてしまう。
自分は善良なつもりでしたのに。
これも貴志氏の筆力のなせる技、と
思いたいです……。