「想い雲」がんばれ、女料理人。 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)/高田 郁

ほんわか:☆☆☆☆ /5

涙:かなしいねかなしいね /5



高田郁の「想い雲」を読みました。

八朔の雪 」「花散らしの雨 」に続く、

江戸の女料理人・澪のシリーズ3作品目です。


『豊年星』 ―― 「う」尽くし

 生き別れとなった息子・佐兵衛を探す芳。客の坂村堂が連れてきた料理人は

 かつての奉公人の富三であった。富三は佐兵衛は吉原通いで借財をつくり、

 遊女を殺して出奔したと言う。しかし澪も芳もそれが信じられない。


『想い雲』 ―― ふっくら鱧の葛叩き

澪は馴染みの客である医者の源斉から一緒に吉原に来て欲しいと頼まれて

 仰天する。どうやら澪の幼馴染・野江ちゃんことあさひ太夫がいる扇屋で

 鱧を調理できる料理人を探しているらしい。


『花一輪』 ―― ふわり菊花雪

 料理番付にも載った「つる屋」を真似た店が江戸に次々と現れ始めた。見栄えのよい

 女料理人を厨房に立たせその魅力も利用する。料理で負けたわけではないと

 澪は平然としていたが、種市の想いがこもった屋号をも真似され、逆上する。


『初雁』 ―― こんがり焼き柿

 「つる屋」の下足番の少女・ふきの弟・健坊が行方不明になった。

 奉公先である「登龍楼」で失敗を叱責され、嫌になり飛び出したのだ。

 「つる屋」面々は店を閉めて必死になって探し回るが見つからない。



3作品目も

おもしろかったです。


今回も「引っ掻きまわされて落ち着いて」の

ジェットコースターみたいな展開です。

もう澪ちゃんが心配でドキドキ。


ずっと会いたくても会えなかった、

幼馴染の野江ちゃんとの一瞬だけの再会は

涙を誘いました。


そして気になっていたお侍の小松原の

正体がチラリズム。


逆境ばかりですが、

だからこそ澪ちゃんの成長が著しくて

楽しい。


脇役たちも優しくてステキな人たちばかり。

ほんわか癒されます。


まだまだ続きそうなこのシリーズは

最近の楽しみのひとつですね。


次はいつ出るのかしら……。