「犯罪小説家」ブラックです | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

犯罪小説家/雫井 脩介

鬱々:☆☆☆☆ /5

ドキドキ:ワクワクワクワクワクワク /5



雫井脩介さんの「犯罪小説家」を読みました。

待居涼司は自身の作品「凍て鶴」で
日本クライム文学賞を受賞し
さらに有名となった。

しかし担当編集者が持ってきた
映画化の話は待居の憂鬱の種だった。

脚本・監督・主演をこなす若き鬼才・小野川充の手により
「凍て鶴」に込めれた待居の内面が
胆に推測されていく。

待居はそれを不愉快に思いながらも
話を進めざるを得ない。

そして小野川充は作品を数年前の
集団自殺サイトの事件に投影し始める。

始めはちょっとノリ切れなかったのですが、

進むにしたがって面白くなってきました。


作品が小野川によって

アレコレ深読みされて、

過去の事件に勝手に結び付けられていき

原作者をイライラさせる。

序盤はこんなやり取りが続くブラックなコントみたいでした。


小野川さん、空気読めない人だな。


……と、思った時点で作者の思うツボ、

かもしれないですよ。

この作品は進むにしたがって

とある二択に追い込まれます。

ドキドキしますよ。


そして感情移入しやすい登場人物の一人も

あっさりと殺されちゃったりして、

ちょっぴりショッキングでもありました。


全体に漂う鬱々、じめじめな雰囲気も手伝って

なんともブラックな感じの作品ですね。