- 植物図鑑/有川 浩
- 道草おいしそう:
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- 恋愛、甘い:
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- 有川浩さんの「植物図鑑」を読みました。
- 植物が出てきて、それをおいしく食べる話とのことで、
- 興味津々。
会社の飲み会からの帰り、
マンションの前で黒いゴミ袋のようなものを発見したさやか。
近づくとそれは、リュックを背負った同じ年頃の青年だった。
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。
咬みません。躾のできたよい子です」
イツキと名乗る行き倒れた青年を「拾って」しまったさやかは
家事をすることを条件にしばらく部屋におく事にする。
イツキは家事全般のほか、道に生えている植物に
非常に詳しく、いつしかさやかはイツキとの
「道草を狩る」散歩に夢中になっていった。
甘いっ。
しかし、この作品はおもしろいです。
好みでした。
「植物図鑑」のタイトル通り、植物ネタが満載です。
近所で見つけた道草をイツキとさやかが
いろんな料理の具材に利用して食べるお話。
各章ごとに2~3種類の道草をクローズアップ、
そして二人の仲も道草食を通じて深まっていきます。
子どもの頃を思い出します。
散歩道のツクシ、ヨモギ、イタドリ、フキと採って食べたり、
シロツメクサで花冠を作ったり、
食べられそうなものを見たら、
とりあえず口に入れてみたり(←危険らしい……)
あの頃が懐かしい。
ツツジの蜜とか絶対吸いましたよね。
あれは春の下校時のおやつでしたよ。
イタドリも下校時によく食べました。
食べ過ぎちゃいけないことを初めてこの本で知りましたけど。
植物ネタも面白かったのですが、
犬のように拾われたイツキ青年もとても魅力的でした。
こういう野に放ってもしぶとく生き残りそうな男性は
何だかいいですね。
ステキな生活力です。
イツキにもさやかにも当て馬的な存在が順番に
現れるあたりにちょっとした「ベタさ」を感じてしまいましたが、
切ないラブストーリーは意外と素直に楽しめました。
余談ですが、この作中にニワゼキショウという
植物が出てきます。
赤紫のかわいいお花で、小さな実を付けます。
私、小学生の頃この実を食べていました……
甘いんですよ。
でも口の中がツブツブするので、
噛んでからペッとするのがオリジナルのお作法でした。
しかしこの作品中で一切その事には触れず。
もしや食べてはいけないものだったりして……
「僕、私も食べたよっ」というお話、募集中!