「植物図鑑」道草が食べたくなる | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

植物図鑑/有川 浩
道草おいしそう:食食食食食 /5
恋愛、甘い:ラブ☆甘ラブ☆甘きゅん☆ /5

有川浩さんの「植物図鑑」を読みました。
植物が出てきて、それをおいしく食べる話とのことで、
興味津々。

会社の飲み会からの帰り、

マンションの前で黒いゴミ袋のようなものを発見したさやか。

近づくとそれは、リュックを背負った同じ年頃の青年だった。


「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。

 咬みません。躾のできたよい子です」


イツキと名乗る行き倒れた青年を「拾って」しまったさやかは

家事をすることを条件にしばらく部屋におく事にする。


イツキは家事全般のほか、道に生えている植物に

非常に詳しく、いつしかさやかはイツキとの

「道草を狩る」散歩に夢中になっていった。



甘いっ。

しかし、この作品はおもしろいです。

好みでした。


「植物図鑑」のタイトル通り、植物ネタが満載です。

近所で見つけた道草をイツキとさやかが

いろんな料理の具材に利用して食べるお話。

各章ごとに2~3種類の道草をクローズアップ、

そして二人の仲も道草食を通じて深まっていきます。


子どもの頃を思い出します。

散歩道のツクシ、ヨモギ、イタドリ、フキと採って食べたり、

シロツメクサで花冠を作ったり、

食べられそうなものを見たら、

とりあえず口に入れてみたり(←危険らしい……)

あの頃が懐かしい。


ツツジの蜜とか絶対吸いましたよね。

あれは春の下校時のおやつでしたよ。

イタドリも下校時によく食べました。

食べ過ぎちゃいけないことを初めてこの本で知りましたけど。


植物ネタも面白かったのですが、

犬のように拾われたイツキ青年もとても魅力的でした。


こういう野に放ってもしぶとく生き残りそうな男性は

何だかいいですね。

ステキな生活力です。


イツキにもさやかにも当て馬的な存在が順番に

現れるあたりにちょっとした「ベタさ」を感じてしまいましたが、

切ないラブストーリーは意外と素直に楽しめました。


余談ですが、この作中にニワゼキショウという

植物が出てきます。

赤紫のかわいいお花で、小さな実を付けます。


私、小学生の頃この実を食べていました……

甘いんですよ。

でも口の中がツブツブするので、

噛んでからペッとするのがオリジナルのお作法でした。

しかしこの作品中で一切その事には触れず。

もしや食べてはいけないものだったりして……


「僕、私も食べたよっ」というお話、募集中!