ラブ: /5
痛快: /5
有川浩さんの「三匹のおっさん」を読みました。
かつて「3匹の悪ガキ」と呼ばれていた3人も還暦を迎えた。
定年退職と同時に自身の剣道教室も閉め、再就職した「清田清一」、
居酒屋「酔いどれ鯨」を息子に譲った柔道の達人「立花重雄」、
危ない武器を隠し持つ小柄な工場経営者「有村則夫」。
時間ができた3匹が始めたのは毎晩の町内の見回りだった。
還暦を迎えてもまだ「おじいさん」ではなく「おっさんだ」と
主張する3匹が痴漢、悪徳業者、動物虐待に立ち向かう。
お久し振りの有川作品です。
面白かったです。
実は有川さん「上手いなぁ」とは思うものの
ちょっとだけ苦手意識もありました。
甘すぎる恋愛ストーリーがダメなんですよね。
部屋の中をゴロゴロ転がっちゃいます。
しかしこれは素直に楽しめました。
なにせ個性的な還暦の「おっさん」たちが
町内で活躍するという痛快なストーリーです。
お得意の恋愛も「おっさん」のお孫さんとか
娘さんをクローズアップして展開されますが、
主役はやはり「おっさん」たちなのです。
還暦を過ぎたからといって「おじいさん」扱いされたくない
3匹が六話の連作短編で大暴れです。
清一が竹刀を振るい、重雄が柔道で組み敷く、
頭脳派の則夫は自身で開発した怪しげな機械を使用する。
それぞれの個性もおもしろいし、
町内の「悪いやつ」を知恵を絞って追い詰めるワクワク感も
楽しめます。
コミックのような展開ですが、
この軽さも読みやすくて好きな作品でした。