「写楽・考」いよいよ、第三弾 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫)/北森 鴻

民俗学ウンチク:♪♪♪♪ /5

登場人物が賑やかに:あったか気分あったか気分あったか気分 /5



北森鴻さんの「写楽・考」を読みました。

凶笑面 」「触身仏 」に続く蓮丈那智フリールドファイルⅢです。



民俗学を研究する美貌の大学助教授・蓮丈那智と

その助手・内藤三國、佐江由美子が民俗学フィールドワーク中に

なぜか事件に巻き込まれる連作短編、第三弾。


『憑代忌』

 大学キャンパス内の白明館の前で写真を撮ると必ず重要単位を落とす。

 そんな都市伝説の変形なのか、なぜか白明館で撮影された内藤三國の

 写真が単位取得のお守りとして学生の間でもてはやされていた。


『湖底祀』

 レポートの下読みを終えてくつろいでいた、内藤のもとに講演旅行先の

 蓮丈那智からエマージェンシーコールが届いた。添付資料には湖の底に

 神社の遺跡が発見されるという新聞記事だ。慌てて研究室を飛び出した。


『棄神祭』

 破壊されることに意味がある神の存在がある。蓮丈那智は学生時代に

 フィールドワークで訪れた、御厨家を再度訪れ調査を行った。

 以前の調査では殺人事件に巻き込まれて真相は分からずじまいだったのだ。 

 

『写楽・考』

 式直男なる人物の論文を読み、内藤三國は衝撃を受けた。発想に優れた

 その論文を読んだ数日後、フィールドワーク中の蓮丈那智から助手の2人へ

 またもやエマージェンシーコールが入る。



今回もまたおもしろかったです。

似たような展開に偏りがちな印象を

受けますが、2作目で増えた登場人物たちが

それぞれに活躍しています。


冬孤堂シリーズの陶子さんもまた登場し、

表題作「写楽・考」で重要な役割を果たしていました。

冬孤堂シリーズは未読なのですが、

陶子さん、何かかっこいいですね。


『棄神祭』と『写楽・考』がお気に入りです。


『棄神祭』はミステリ視点では常套トリックですが

民俗学を絡めると、また違った味わいでよろしかったです。

学生時代の蓮丈那智が垣間見えたりもして……


『写楽・考』は洋画の世界にまで手が及び、

なかなか壮大な発想で好きです。狐目こと高杉さんが

一度は捨てた民俗学の世界に帰ってきて、

その才能を見せ付けてくれます。


これ続編でますよね……

好きなシリーズを読み終わってしまうと、

毎度心配になりますね。


とりあえず、未読の陶孤堂シリーズを読んでみます。


本シリーズをオススメしてくれたバステトさん、

ありがとうございました。