「触身仏」グレードアップしてます | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉 (新潮文庫)/北森 鴻

民族学:ワクワクワクワクワクワクワクワクワクワク /5

登場人物がおもしろい:GOODGOODGOODGOOD /5



北森鴻さんの「触身仏」を読みました。



民俗学を研究する美貌の大学助教授・蓮丈那智と

その助手・内藤三國が様々な事件に巻き込まれる連作短編。


『秘供養』

 山人伝説を追い、東北の雪山へ岩の表面に線刻された

 五百羅漢を見に行った。ところがその途中、那智は

 雪庇を踏み抜いて沢へ落ちてしまう。


『大黒闇』

 杉崎尚子という学生が内藤に兄を助けて欲しいと頼みに来た。

 彼女の兄は怪しげなサークルに所属し、はまってしまい、

 親の金を使ってまで高額な仏像を購入するほどになっていた。


『死満瓊』

 「灰皿を片付けておいて」那智からの謎のメールを受け取り内藤は

 途方に暮れていた。那智はフィールドワークへ行く、と出て行ったっきり

 連絡が途絶えており、それは十日ぶりに来たメールだった。


『触身仏』

 内藤はミイラのようなものが苦手であった。にも関わらず、那智のもとに

 届いた手紙には即身仏が存在する村の者からで

 那智は随分とその存在に興味があるようだった。


『御蔭講』

 別の研究室からやってきた佐江久美子は那智の助手として

 テキパキと働いた。内藤はその間、御蔭講の論文に力を入れることが

 出来た。ところが佐江の前の研究室にいた男が不穏な動きを見せる。



2作目も面白かったです。

主要登場人物も増え、少し賑やかになりました。


1作目では天敵のように描かれていた教務課の狐目の男が

意外とイイ人だったり、助手が増えたり……


民俗学や事件だけでなく那智と内藤のやりとりも

(おもしろく)グレードアップしたように感じます。


フィールドワーク中にゴロンと死体が出てくるというのが

1作目ではお馴染みの展開でしたが、2作目では

それが少数になり、”事件”に幅が出できたところも面白かった。


内藤くんの恨みがましい独白もさらに

磨きがかかっています。

ちょっとさみしい彼の年収まで晒されてしまいました。


3作目も楽しみです。


どうでもいいのですが、

この作品を読んでいると、子どもの頃に見たアニメを

思い出します。


美人の凄腕霊能力者とそのお間抜けな助手が

幽霊とか退治するやつです。

かなりいい加減な記憶ですね……