爽やか青春モノ: /5
ホラー: /5
重い秘密の話: /5
恩田陸さんの「ネバーランド」を読みました。
恩田さんの作品、ちょっと久しぶりです。
惠さんのブログで拝見し、読みたくなった次第です。
名門男子高の古めかしい寮松籟館(しょうらいかん)に
年末は実家に帰ることができない3人の少年
美国、寛司、光浩が残った。
そこに寮生ではない統が加わり4人で過ごすことに……
広々とした寮でふざけ合い、お酒を飲み、ゲームに興じる。
そんな楽しい合宿のような生活が始まるが、
お互いに心を許したのか、それぞれが抱える問題も
徐々に明らかになっていく。
先が気になってページをめくるのが忙しい本でした。
恩田さんのこの手の本は本当に上手く書かれているなぁと
思います。
それぞれが持つ「秘密」の小出しの仕方がもう絶妙。
そして少年たちだけの生活の描写も面白かった。
寮生活なんてしたことはないけれど、
どことなく懐かしようにも感じる。
そして予期してなかっただけに驚いた、
ちょっとしたホラー描写。
この作品は全然ホラーではないのですが、
夜読むと少しゾッとします。
他に誰もいない古い寮。
暗闇に、大雨の音。
そしてなぜか急に鳴り出す玄関口のピンク電話。
……怖くないですか。
その他にも「学校の怪談」なんかに出てきそうな
ちょっと怖い話や、寮の描写など
不意打ち的なホラー場面に出くわしてしまいます。
お互いの秘密を知り合った4人のラストシーンも
キレイ過ぎるくらいにキレイで絵になります。
上手くまとまりすぎな感は否めませんが、
こういうのも結構好きです。
少年たちの秘密がなかなかヘビーだったので、
読後感が爽やかで本当に救われた。
恩田さんの作品はものによって好きなものと苦手なものが
両極端なのですが、この作品は好きです。
惠さん教えてくれてありがとうございました。