- 図説 妖怪画の系譜 (ふくろうの本/日本の文化)/兵庫県立歴史博物館
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- 「妖怪画の系譜」を眺めました。
最近高橋克彦さんの「だましゑ歌麿 」を読んだばかりで
非常にタイムリーでした。
物語中に出てくる春朗(後の葛飾北斎)や
鳥山石燕の弟子・歌麿の書いた妖怪画も
収められています。
もちろん鳥山石燕の妖怪画もたくさん載っていました。
京極夏彦好きな方には見覚えがある絵ばかりかと思います。
妖怪画といってもおどろおどろしい絵はわずかです。
ユーモラスでかわいいものが多い。
著者は何度も「江戸のポケットモンスター」という
表現を使っていますが、まさにそんな感じです。
個人的に大笑いしたのが、「神農」の化け物退治の絵巻です。
これがすっごくくだらなくて、最後は神農たちがふんどし一丁に
なり、ビームのようなおならをブチかまし、
おならで挟み撃ちし化け物の大将を土下座させています。
なんたるバカバカしさ。小学生か……(喜んでいる私もね)
著者曰く「『屁』に対する絵師のただならぬ執念を感じさせる」
「稲生物怪録」の絵巻もシュールで面白かったです。
これは化け物の絵は気味が悪いんですが、
様々な怪異を前にした主役の稲生くん(16歳)の表情が
どれも「ふーん」って顔。
随分とつまらなそうなだな、君。
稲生くんのその勇気に根負けした化け物の頭が
化け物たちを連れて帰っていくというストーリーなので
そんな顔してるんでしょうけど……
そして明治、昭和まで時代は進み、紙芝居や貸本、
手塚治氏、水木しげる氏の漫画なども紹介。
さらに「地獄先生ぬ~べ~」、「うしおととら」、「百鬼夜行抄」
など比較的新しい漫画、
さらに新しいもので「かのこん」、「ぺとぺとさん」などもご紹介。
まさに妖怪の昔と今が丸分かりなのです。