「食堂かたつむり」先入観を捨ててみて…… | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

食堂かたつむり/小川 糸

おいしそう:食食食食 /5

優しいだけじゃない癒し系:GOODGOODGOODGOOD /5



たくさんの人が読まれていますが、あきさんの

ブログでのご紹介でよし読むぞ、と思った本です。

小川糸さんの「食堂かたつむり」を読みました。


アルバイトから戻ると部屋はからっぽになっていた。


倫子はインド人の恋人に裏切られて家財すべてと

大切にしていた調理器具や漬けておいた梅干も

全部持っていかれてしまった。


ただ、尊敬する祖母の形見のぬか床は無事だった。

それを抱えて一人、不仲である母親がいる村へと帰った。



とてもおいしそうでした……


倫子こと、”りんごちゃん”の作る料理の描写が

ステキです。


傷心により故郷に戻った倫子が自然たっぷりの村で

”食堂かたつむり”というお店を始め、様々な人と触れ合う

ハートウォーミングなお話でした。


仕事の失敗、失恋などで傷心の女の子が

大自然とかあたたかい人たちに癒される、

というお話、たくさんあるように思い敬遠していたのですが、

これは正直、おもしろかったです。


倫子が過去の恋愛の詳細をほとんど語らず、

前向きに食堂のオーナーシェフを勤める。


そして母親との確執や食堂でのトラブルにも

前向きに向き合っているところに好感が持てました。


何より全体的に村での生活が”優しい”だけじゃない

という雰囲気が私の好みに合いました。


食堂でのトラブルでは人の悪意があるものも

ありましたし、つらい出来事も起こります。


そして(ラストの方なのでネタばれに

なってしまうかもしれませんが)

他の命をもらって食べている、という自覚を持って

倫子が料理をしている姿が印象的です。


倫子が調理した鳩、すごくおいしそうでした。

私も一度鳩は食べてみたいんですよね……


オススメ本です。

あきさんありがとうございました。



(同世代の方、ネタバレです↓)


何となく中学の教科書の「命ということ」を

思い出しました。


マドンナBが解体される豚のお腹に手を突っ込んで

「あたたかい」と言ったお話です。


懐かしいですね……