「虹を操る少年」非現実感があっても読ませる作品 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

虹を操る少年 (講談社文庫)/東野 圭吾

のめり込み:ワクワクワクワクワクワク /5

発想のおもしろさ:GOODGOODGOODGOOD /5



東野圭吾さんの「虹を操る少年」を読みました。

既読だと思っていて読んでみたら、

そうでもないかも、でもそうかも……



父親の高行は光瑠(みつる)が生まれたばかりのときに

淡く発光しているのが見えた。


光瑠は成長と共に特殊な能力を発揮し始める。

「色」を正確に捉え、クレヨンで再現することから

始まり、難しい本をどんどん読み続け、

成績はクラスメイトより群を抜いてよかった。


そして高校生になった光瑠は軽音楽部で

熱心に活動を始める。


その頃多くの若者たちは深夜に明滅する光の存在に

気付き始めた。


そして光瑠が深夜にこっそりと外出していることに

両親は気付いてしまう。



光を操ったり、メッセージを込めて発信したり

と、特殊な能力を持った光瑠という少年のちょっとSFチックな

お話でした。


懐かしいような気がするのは既読だからなのか、

昔の東野作品だからなのか判然としませんが、

面白かったです。


引っ張り込むのがやはり上手いなぁと思います。

かなり非現実的な要素を持った話なのに、

気付くと先が気になって仕方がない。


光瑠の目的や、能力の秘密、”敵”の存在なんかが

上手い具合に小出しにされて、

光瑠の周りの人たちの境遇も目が離せない。


”光”にまつわる能力という発想も面白いですね。


しかしそれを差し引いてもやっぱりちょっと

非現実感が強いなぁ、と読後に思いました。

読んでいる間は気にならないのですが。


別に小説に現実感を求めてはいないのですが、

たまにこのように妙に気になってしまうことがあります。


たぶん作中で光瑠の能力について

科学的な説明で語られているせいかな。


最初から「何かわからんけどすごい力があるんだよ」

っていうなら非現実感をそのまま受け止められる、

かも……

でも何か違うな……


言いたいことがよく自分でもわからない、

懐かしの東野作品でした。