「ラッシュライフ」ぐるぐる | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

ラッシュライフ (新潮ミステリー倶楽部)/伊坂 幸太郎

「つながる」おもしろさ:ワクワクワクワクワクワクワクワク /5

シュール:☆☆ /5


伊坂幸太郎さんの「ラッシュライフ」を読みました。



戸田ビルの3代目オーナーで

画廊の経営者である戸田は

若手の画家・志奈子とグリーン車両を

一両借り切っていた。


志奈子はある心から絵を愛する男を裏切って

絵画を株かなにかのように扱う戸田を

パトロンに選んだのだ。

泥棒の黒澤、新興宗教の教祖と

マスコミに騒がれる「高橋」に

心酔した河原崎、不倫相手の妻の殺害を企む

精神科医の京子、リストラにあった豊田、

それぞれの物語が1つの騙し絵を描く。



最後まで読んで思わず「なるほど」。


いくつかの物語がお互いに影響を

与えて1つの大きな流れになっています。


展望台があって、エッシャー展をやっていて、

汚れた野良犬がいて、プラカードを持った白人女性が

いる。

この光景が登場人物を変えて何度も出てきます。


ぐるぐる、ぐるぐる回っているみたい。

騙し絵を文章にしたらこんな感じだろうな、

という面白さがありました。


河原崎の物語、精神科医・京子の物語では

やたらと死体が登場してかなりシュールな

雰囲気でしたが、泥棒の黒澤の話は

伊坂さんの本領発揮という感じで面白かったです。


伊坂さんの描く「美学を持ったワルい男」

という感じの人物、好きです。


そういえば名古屋でも今、騙し絵展をやっています。

すごく行きたいです。

でもいつもその事を忘れています。


ぐるぐる、ぐるぐる、何度も忘れては思い出し、

「あ、騙し絵見に行かなきゃ」と思います。

人生が騙し絵です。