食いしん坊集合!: /5
ほのぼの系: /5
近藤史恵さんの「ヴァン・ショーをあなたに」を
読みました。
ビストロ・パ・マルのシリーズ2作目。
ちなみに前作は「タルト・タタンの夢」です。
『錆びないスキレット』
おだやかな志村さんといつも無愛想な三舟シェフが
ケンカをしている。驚いたギャルソン・高築とソムリエ・金子さんは
こっそり様子をうかがった。1匹の黒い子猫がその原因か。
『憂さばらしのピストゥ』
予約のお客から急に電話が入ってベジタリアンであった
ということを知らされる。さすがの三舟シェフも思案顔。
「おい、高築。急いで豆乳買ってこい」豆乳がどうフレンチに?
『ブーランジュリーのメロンパン』
パ・マルのオーナー・小倉さんがやってきて、三舟シェフに
今度オープンするパン屋のカフェスペースのためのメニュー
作りを依頼した。着々と準備が進んだある日事件が起きた。
『マドモワゼル・ブイヤベースにご用心』
「三舟シェフ、好きな人がいるみたいなの」
金子さんがいうにはそれはいつもブイヤベースを注文する
マドモワゼル・ブイヤベースとあだ名されている女性らしい。
『氷姫』
突然大切な人が出て行ってしまい、吐き気が止まらない
ほどの絶望を味わう。そんな日なのにも関わらず
教授とフレンチを食べる約束をしていた。
『天空の泉』
恋人と離れ、1人南仏へトリュフ入りのオムレツを
食べに行く。そこで日本人の三舟忍という男と
一緒になり、思わず今までのことを語ってしまう。
『ヴァン・ショーをあなたに』
フランスを旅している途中のユースホステルで
突如体調を崩したぼく。日本が恋しくて仕方がなくなる。
そこで三舟がつくってくれたのはなんと味噌汁だった。
ようやく読めました。
ビストロ・パ・マルの三舟シェフが小さな事件の真相を
暴くという連作短編です。
前半の舞台は前作同様にビストロ・パ・マルに
現れるお客さんが持ち込むミステリがネタになっています。
後半は視点が変わってお客側から見たストーリーや、
三舟シェフのフランス修行時代のお話もあり、
こういう連作モノにありがちなマンネリもなく楽しめました。
そしてフランス料理の描写がたまりません。
お腹がすきますね。
今回はフランス料理だけでなく、テーマになる
料理も多岐にわたりました。
昔ながらの菓子パンやカキ氷、味噌汁、卵粥……
食べ物好きのミステリ好きにはオススメの
シリーズです。
ワガママをいうと三舟シェフの過去がわかったところで
もう1話くらいパ・マルを舞台にした話が
入っていたらよかったなぁ。
やっぱりレギュラーのメンバーが出てこないと
ちょっぴりさみしかったり……
第3作目が出ることを期待してます。