「ジャージの二人」なるほど低スピード…… | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

ジャージの二人/長嶋 有

ゆる~い:おいしそうおいしそうおいしそうおいしそうおいしそう /5

クスクス笑える:あったか気分あったか気分あったか気分あったか気分 /5



長嶋有さんの「ジャージの二人」を読みました。



僕は父と東所沢駅で待ち合わせをして

二人で祖母の代から持っている別荘に避暑に出かけた。


父は僕の母とは離婚していて、

新しい奥さんも娘もいる。

僕は僕で妻とうまくいっていない。


そんな中での二人のダラダラ避暑生活。



本作品映像化されているみたいですね。

「アヒルと鴨のコインロッカー」を手がけた中村監督に

よるものだそうで早速気になります。


この作品、別荘での「僕」と父の生活の描写が細かくて面白いです。

固有名詞がたくさん出てきて、実際に交わす会話って

こんな感じだよなぁと思いました。


父 「なんかこう、甘いものが」

僕 「アルフォートまだあるよ」

父 「あれもいいけど、こう」

僕 「餡のものだな」

父 「いや、チョコでいいんだけど」

僕 「コアラのマーチ的なものだ」

父 「それってどんなのだっけ」

僕 「コアラ状のビスケットにチョコが入ってる」

父 「そういうんじゃなくて、もっとこう、パフパフとした」

                  (本文抜粋)


こんな感じでひたすらゆるい。


実際は2人とも定職がなく家庭に少し問題があり、

もっと何か考えるべことがあるんじゃないのか、と

ツッコミたくなるような状況なのですが、

とにかくダラダラと父の友達や近所の謎の作詞家を

訪れたり、犬と散歩したりします。


そんな生活を親子で着込んだだっさいジャージが

象徴しているような作品でした。


とても癒される作品です。

帯に書かれた「低スピード」に納得。


でも「僕」の奥さんはちょっぴり嫌な女です……