「こころげそう」江戸であいのり | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり/畠中 恵

恋愛:甘甘甘甘 /5

ミステリ:いるよいるよ /5



畠中恵さんの「こころげそう」を読みました。



江戸の下っ引き・宇多は幼馴染の大和屋の娘・於ふじのことが

好きだった。


だがその想いを打ち明ける前に、於ふじは兄・千之助と

同じ日に川で溺れて帰らぬ人となる。


2ヵ月後、何と於ふじが幽霊となって宇多の前に現れた。

だが、自身の死の真相についてはすっかり忘れており、

謎は残ったままだった。


宇多の幼馴染、お染、弥太、おまつ、重松、お品、お絹、

そして幽霊となった於ふじに、御仏の下へ行ってしまった千之助

9人の恋愛物語。


心化粧(こころげそう)――口には言わないが、内心恋いこがれること

                        (東京道出版 江戸語辞典より)



ビックリするほど甘くもなく、ほどよいミステリっぽさが

読みやすかったです。

逆にちょっとフワフワした物足りないような印象もありました。


最近終了したとかで名前をよく聞きますが、

この本読んで「あいのり」とか思い出しちゃいました。


9人ともうまいこと相思相愛になれない、

または何かしら恋愛に障害がある。

その辺りがまた切ないのですが、

あの「あいのり」のノリにちょっと似てる。


何か本人の信念だか、他に好きな人がいるだとかで

うまいこといかないんですよねー。


あの誰が誰を好きとかいう矢印の図が入ってたら

面白かったのに(笑)


連作短編のように小さな事件や恋愛にまつわる騒動が

あって、全体の大筋として於ふじと千之助の死の謎が

解き明かされるという構成になっていました。


畠中さんは「しゃばけシリーズ」しか読んだことがなかったのですが、

この作品でもあの平和なふんわりした雰囲気が出ていました。

最後らへんはあんまり平和とは言えない感じでしたが(^^;)

ちょっと死にすぎじゃありませんかね……ってネタバレかしら。