「ゴールデンスランバー」いい曲でした | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

ゴールデンスランバー/伊坂 幸太郎



読み止らん!:ワクワクワクワクワクワクワクワクワクワク /5


不条理な境遇に涙:かなしいねかなしいねかなしいね /5


ゴールデンスランバーがリフレイン:え?え?え?え? /5




遅ればせながら伊坂幸太郎さんの


「ゴールデンスランバー」読みました。




樋口晴子は友人の平野晶と蕎麦屋で食事をしていた。


日本の若き首相である金田がパレードの最中に


爆弾で暗殺されるという中継を見たのはそのときだ。


そのとき晴子は自分がこの事件に深く関わることに


なるとは思っていなかった。




暗殺の容疑者として挙げられた青柳雅春は2日間の


逃亡生活を送り大勢の警察官やマスコミが取り囲む中に


姿を現す。




彼の逃亡の2日間とはどんなものだったのか。


そして事件の真実とは。




500ページのという量を感じない本でした。


始めに提示されたラストシーンに向かって主に


容疑者・青柳雅春の目線で進むという構成になっています。



この構成が絶妙でした。


青柳雅春の学生時代の思い出なんかが随所に


挟まれていて大きな力によって容疑者に仕立て上げられ、


逃亡を続けなければならないという境遇の不条理さが


えらく際立っています。



彼の学生時代の描写が伊坂さんらしい雰囲気でした。


特に友人の森田森吾、カズとの学生らしいおふざけが


面白いだけに現実に引き戻されるときの悲しさひとしお。



特に森田森吾は伊坂さんお得意のキャラクターという


印象でした。作中では思い出ばかりの登場でしたが、好きな


登場人物です。



すごく面白かったけれど読後は何だかちょっと切なくなります。


「クジラに襲われたら逃げるしかない」という森田森吾のセリフ通り、


何かの力により抹殺されようとしている青柳はひたすら逃げまくる。


最後まで逃亡紀で終ってしまったのは少し


やりきれない気持ちが残りました。


これで逆転されたらかなり冷めるとは思いますが、


重いテーマがどどーんと心に残ってしまった気分です。



いやでも傑作でした。



タイトルの「ゴールデンスランバー」というのは


ビートルズの曲だそうです。


せっかくだから読み終わる前にちょっと聴きたいと思って、


部屋にあるはずのCDを探したのに見つからず。



あ!と気付いたのは軽く家捜し状態になった後でした。


You Tubeがあるじゃないですか!






Once there was a way to get back homeward


Golden slumber fill your eyes.


Smiles awake you when you rise




「昔は故郷へ続く道があった、そういう意味だっけ?」


「帰るべき故郷、って言われるとさ、


思い浮かぶのは、あの時の俺たちなんだよ」


                          (本文引用)



そんな学生時代を思い出す青柳と森田の会話中に登場しました。


その後もたびたび作中に引用されてました。



そういえばアビーロード見に行ったときはバカなポーズで


写真撮って来ちゃっただけだったな。


この本先に読んでたらもう少し感慨深く見学したんだけど(-_-)


あまりに普通の横断歩道だったから……(0_0)