あったかい気分: /5
ギャップの快感: /5
母さんが人殺しかぁ: /5
萩原浩さんの「ママの狙撃銃」を読みました。
福田曜子は一見ごくごく普通の主婦だ。
少し頼りない係長の夫・孝平と私立中学の長女・珠紀、
6歳の秀太の4人家族だ。
ところがある日かかってきた電話により
曜子は過去の自分の仕事のことを
思い出させられる。
彼女は6歳から10年間をアメリカで暮らし、
祖父のエドからあらゆる銃器の扱い方を徹底的に学んだ
暗殺者だったのだ。
ギャップの快感がたまりません。
遊び人の金さんが実は北町奉行、
浪人の徳田新之助が実は上様、
同級生のサリーちゃんが実は魔法の国の王女様、
よぼよぼのじいさんが実は前副将軍、
どの展開もワクワクしますね☆
(例に偏りがあるのは気にしないでください)
そんなノリで普通の主婦の曜子が
実はスゴ腕のスナイパーです。
大根とネギとライフルを袋に入れて仕事へむかう。
そんな設定はなかなかカッコイイんですが、
曜子が真剣に自分の過去と仕事について
悩んでいるので少し重さも感じます。
作品全体的に「かっこいー!」と喝采すべきなのか
曜子と一緒に悩むべきなのか迷ってしまう
曖昧さはありました。
それでも曜子の祖父のエドや家族などの人物描写は
とても微笑ましくて、荻原さんの本領発揮といった
感じです。
そういえばこの4人家族、「愛しの座敷わらし」 の家族に
構成が非常に似ているような……
銃に関する一連の描写もなかなかリアルで面白いです。
最近「銃器使用マニュアル」 を読んだばかりで
いわゆる”マイブーム”なんですよ。
銃のシーンは食い入るように読んでしまいました(笑)
「人殺しをヒタ隠す母かぁ」と深く考えると
重すぎるので、「カッコイイ母さんだなぁ」という楽しみ方が
いいのかもしれません。