「愛しの座敷わらし」優しい気持ちになれますね | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

愛しの座敷わらし/荻原 浩

この本ぶ厚いなぁ、と眺めること

一週間、ようやく読みました。

「愛しの座敷わらし」です。

初めて読む作家さんです。



出世のルートから外れて、地方転勤を

命じられた大手食品メーカーの課長、晃一。

新しい職場からもさほど近くはないが、

田舎の古くて大きな家に憧れて引越しを決意する。


晃一の妻の史子は夫にうんざりしていた。

晃一の選らんだ古い家も気に入らない。

何とかして夫を諦めさせようとするが。


携帯電話を気にしてばかりの長女・梓美、

喘息の持病がある智也、

認知症の気がある晃一の母の澄代、

そしてコーギーのクッキー

が史子の努力もむなしく東京からど田舎へ

引越しすることに。

何となく気持ちがバラバラな家族

5人と1匹を待っていたものとは。



これは読み始めてすぐに

「あ、この系統の話か」と思ってしまいました。

先が読めます(^^;)

でもどうなるか予想できていてもなお

家族のやりとりや座敷わらしの仕草に

頬っぺたがゆるんでしまいます。


「東京から田舎に引越し」「座敷わらし」

「いまいち上手くいってない家族関係」

とキーワードを並べるとストーリーが想像

できるかと思います。

そしてたぶん想像通りです(笑)


文章が面白いし、表現が妙にかわいかった。

一人ひとりのキャラクターが

個性的なのもよかったです。


お父さんはちょっと突っ走り気味のロマンティストだし、

お母さんは現実的だけど優しい。

梓美は人前で猫をかぶってしまって

友達が出来ないのことを悩んでいて

弟の智也はひたすら元気、

でも家族を妙に客観視している。

澄代は認知症と言われても認めない。

序盤はかなり危なっかしい感じでした(^^;)


特に小学四年生の智也の目線が面白くてかわいい。


始めの方の智也と本の最後の方の

智也を比べるとすごく自然に成長している!

レビューを書こうと思って軽く

読み返すまで気付かなかったのにびっくりした。


彼だけではなくて家族全員が成長していて

よかったなぁ、と素直に思える物語でした。