「恐怖」ちょっと……笑えます | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

恐怖 (文春文庫)/筒井 康隆

恐怖:ホラー /5

笑い:ウケるウケるウケる /5

村田ビビり過ぎ:え?え?え?え? /5



筒井康隆さんの「恐怖」を読みました。



姥坂市に住む「文化人」が殺される連続殺人が

起こった。

そこそこ名前の知れた作家・村田は画家の町田美都が

殺害されているのを発見してしまう。

その日から村田は次は自分が殺されるのではという

恐怖に駆られ半狂乱の日々をおくる。



すみません、間違った読み方をしているかもしれません。


これは読者が怖い思いをする「恐怖」ではなくて

主人公の作家・村田の「恐怖」で狂っていく様を

客観的に眺める作品なのでは、と勝手に思いました。


とにかく村田がビビっている様子が、

ときにコミカルとも思える表現で描かれていて、

ちょっと笑ってしまいました。


もう「被害妄想」としか……


村田だけでなく「文化人」と言われる人々が

肩を寄せ合って怯えています。

それもまたちょっと笑えるくらいのビビり具合。


犯人は誰なのか、というミステリの要素もあるには

ありますが、それは特に驚くべき真実とは言えず、

やはり恐怖に駆られる「文化人」がメインなのでしょう。


思わずふき出しちゃったエピソードは村田はパンが怖い

という話。

子どもの頃にパン職人が鼻をほじりながらパン粉を

こねていたのを目撃して以来の恐怖だとか。


たぶんもっと人の恐怖とかその根源とか難しい読み方を

すべき作品なのでしょう。


笑っている私は何も分かっていない……かも