「てのひらの迷路」楽屋裏まる見え | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

てのひらの迷路/石田 衣良

昨日読んだのが「異国の迷路」

じゃあ、今日は……

という安直な感じで石田衣良さんの

「てのひらの迷路」を読みました。


ショートショート24編とそれを執筆した

経緯や心境などの

石田さんのコメントがそれぞれに

ついています。

作家さんの楽屋裏をちょっと覗ける本でした。



『旅する本』

 失業した男は駅のベンチの上のその本を拾った。

 愛犬を失った少年はブランコの上のその本を拾った。

 ひとつの本の旅の物語。


『ウエイトレスの天才』

 ある居酒屋で天才的なウエイトレスにあった。

 彼女はお客の頼んだものを一年後でも

 思い出すことができたのだ。


『書棚と旅する男』

 男は船に書棚を持ち込み、

 「わたしのための本」を探していた。

 違うと判断したものは海から捨てる。

 そして最後に残ったのは……


               他21編(全24編)



不思議なことに自分の中で賛否両論(^^;)


この本では各掌編の冒頭部に何をモデルに書いたか

どんな心境があって書いたものかを

結構赤裸々な感じで書いています。


作家さんってこんなことを考えながら

物語を書くんだなって面白く思ったのもあるけど、

予備知識なしで掌編そのものを楽しみたかったな、

という思いもあり……


特に『短編小説のレシピ』と

『最期と、最期のひとつまえの嘘』は

ちょっとすごかったです。


ネタに困った著者がいろいろと考えを

めぐらせる過程が事細かに

『短編小説のレシピ』の方に記され、

そうやって出来た短編小説が

『最期と、最期のひとつまえの嘘』。


もちろん読者は結末から設定から

全部分かっている状態で読み始めることに

なります。


……一概に好きじゃないとは言い切れませんが、

何か不思議な体験でした(^^;)


アミューズメントパークのぬいぐるみの中

の人を見ちゃったような……